わらび座

わらび座：秋田の伝統芸能を継承する劇団の歩みと再生

1948年、東京で発足した劇団を起源とするわらび座は、幾多の変遷を経て、秋田県仙北市田沢湖に拠点を構える日本の伝統芸能を基盤とした劇団として発展してきました。戦後の混乱期から始まり、北海道での活動を経て、秋田に定着。1953年、現在の名称「わらび座」に改名し、地域に根付いた活動を展開しています。

多角経営と地域密着

1971年には株式会社化し、劇団・劇場経営にとどまらず、温泉、ホテル事業、そして地ビール「田沢湖ビール」の製造販売など、多角的な経営を展開することで、安定した基盤を築いてきました。2016年には「たざわこ芸術村」を「あきた芸術村」へと名称変更。秋田県を代表する文化拠点としての地位を確立しています。

わらび座は「わらび劇場」という常設劇場を擁し、オリジナルミュージカルを中心に年間を通して公演を行っています。さらに、7つの公演チームが国内外で活動し、2009年には年間25万人の観客を動員するなど、高い人気を誇っています。愛媛県東温市には「坊っちゃん劇場」も運営し、全国的な活動基盤を築いています。

民事再生と再生への取り組み

近年は、新型コロナウイルス感染症の影響による経営悪化により、2021年10月に民事再生法の適用を申請。負債総額は約14億4600万円にのぼりました。しかし、APAMANグループの支援を受け、同年9月に設立された一般社団法人わらび座への事業移管を計画。非営利組織として再生への道を歩み始めています。

この再生計画には、システムソフトによる経営指導や、県内経営者や文化人による支援体制も構築されています。わらび座の代表取締役社長であった今村晋介氏は、新法人の理事長として再生に尽力しています。

地域貢献活動

わらび座は、劇団活動以外にも地域社会への貢献にも積極的に取り組んでいます。修学旅行生の受け入れや地元農家との連携による農業体験などを通して、地域活性化に貢献。企業研修講師としての活動も行い、幅広い分野で地域社会とのつながりを深めています。

また、「フレンドリータウン」と称し、秋田県内の多数の市町村と協定を締結。地域との連携を強め、広報活動にも積極的に取り組んでいます。

代表作品

わらび座は、オリジナル作品のみならず、古典文学や現代文学に基づいた数多くの作品を上演してきました。代表的な作品として以下が挙げられます。

男鹿の於仁丸: 大関弘政による脚本・演出
春秋山伏記: 藤沢周平原作、大関弘政脚本・演出
銀河鉄道の夜: 宮沢賢治原作、市川森一脚本、中村哮夫演出
菜の花の沖: 藤沢周平原作、ジェームズ三木脚本・演出
坊っちゃん！: 夏目漱石原作、ジェームズ三木脚本・演出
火の鳥 鳳凰編: 手塚治虫原作、齋藤雅文脚本、栗山民也演出
おもひでぽろぽろ: スタジオジブリ原作、齋藤雅文脚本、栗山民也演出
ミュージカル「龍角散Presents・ゴホン！といえば」: マキノノゾミ脚本・演出
ジャングル大帝レオ: 手塚治虫原作、2024年公演予定

これ以外にも、数多くのミュージカル作品を上演し、観客を魅了してきました。

関連施設

わらび座は、劇場以外にも様々な関連施設を運営しています。

わらび劇場: 710席を擁する常設劇場
温泉ゆぽぽ: 大浴場、ホテル、レストランを備えた複合施設
田沢湖ビール: 地ビールの醸造所とレストラン
森林工芸館: 手作りの体験施設
坊っちゃん劇場: 愛媛県東温市にある常設劇場

過去には「男鹿桜島リゾートHOTELきららか」や「川口温泉奥羽山荘」なども運営していましたが、老朽化や経営状況の悪化により閉館しています。

まとめ

わらび座は、伝統芸能を基盤とした劇団としての活動に加え、多角経営、地域貢献活動、そして民事再生を経ての再生計画など、様々な取り組みを通して秋田の文化発展に大きく貢献しています。今後も、地域と共に発展していくわらび座の活動に注目が集まります。

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