アウグスト・フェルディナント・メビウス

アウグスト・フェルディナント・メビウス（August Ferdinand Möbius, 1790年11月17日 - 1868年9月26日）は、19世紀のドイツを代表する数学者、そして理論天文学者です。ザクセン＝アンハルト地方で生まれ、ライプツィヒ大学で教鞭を執り、カール・フリードリヒ・ガウスに師事しました。

主な業績

メビウスは、数学、特にトポロジーと整数論の分野で重要な貢献をしました。彼の最も有名な業績の一つは、「メビウスの帯」の発見です。メビウスの帯とは、細長い帯を180度ひねって両端を貼り合わせたもので、一枚の面と一つの縁しか持たないという特異な性質を持ちます。この発見は、幾何学とトポロジーの分野に大きな影響を与えました。

興味深いことに、メビウスの帯の発見は、メビウスとほぼ同時期に、ドイツの数学者ヨハン・ベネディクト・リスティングによっても独立して行われました。ただし、リスティングの方が論文発表は4年早く、メビウスはリスティングの論文を引用し、自身の研究を紹介しています。

また、メビウスの名を冠した「メビウス関数」は、数論における重要な関数の一つです。メビウス関数は、自然数に対して定義され、その素因数分解に基づいて値が決定されます。この関数は、様々な数論的な問題において重要な役割を果たします。

メビウスはまた、「四色問題」を最初に提出した人物として知られているという誤解がありますが、実際にはそうではありません。彼が1840年に提出したのは、「5つの国が互いに隣り合うことができるか？」という、より単純なパズルでした。四色問題は、1852年にフランシス・ガスリーによって定式化されました。

天文学の分野では、メビウスは惑星運動や天体観測に関する理論的な研究を行いました。彼の研究は、天文学の発展に貢献しました。

その他

メビウスの功績を記念して、小惑星28516番は「メビウス」と命名されています。

関連事項

メビウスの帯
メビウス関数
メビウスの反転公式

参考文献

ジョン・フォーベル ほか 著、山下純一 訳『メビウスの遺産　数学と天文学』現代数学社、1995年2月。ISBN 978-4-7687-0312-0。

外部リンク

メビウス - コトバンク
August Ferdinand Möbius - MacTutor History of Mathematics archive (英語)

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