アジア経済研究所

アジア経済研究所の概要

アジア経済研究所（通称：アジ研）は、千葉県千葉市美浜区に位置する独立行政法人で、主にアジアおよび発展途上国の経済や社会に関する研究を行っています。所長は木村福成氏であり、約150名の研究者が在籍しており、日本国内では最大規模の社会科学系研究機関として知られています。

設立の背景と沿革

アジ研の設立は、1958年にさかのぼります。当時の岸信介内閣総理大臣などが関与し、アジア地域研究機関の設置を提案したのがきっかけです。設立は財団法人として開始され、1960年代に特殊法人へと改組され、その後の統合や移転を経て、1998年には日本貿易振興機構（ジェトロ）と統合されています。これにより、アジ研は幕張新都心に新たな拠点を構えました。

研究活動とテーマ

アジ研の研究活動は、アジア、アフリカ、ラテンアメリカ、中東・CISに関連する地域研究及び開発研究が中心です。また、統計資料やデータベースの整備も行っており、これらを基にした研究や分析も展開しています。特に近年では、自由貿易協定（FTA）や経済統合といった政策研究に焦点が当てられています。

構成と機関

アジ研の組織は、研究部門として地域研究センター、開発センター、新領域センターの三つのセンターに分かれます。それぞれのセンターは、特定の地域やテーマに特化した研究を行い、最終的な成果物は査読を経て出版されます。また、併設された図書館では日本語、英語、現地語の文献や統計資料が収集され、研究者たちの活動を支えています。

開発スクールと人材育成

アジ研では、国際開発や援助の専門家を育成するための「アジア経済研究所開発スクール」（IDEAS）も設置されています。このプログラムは海外からの学生と日本人学生を受け入れ、英語で授業が行われ、修了後は海外の大学院への進学が推奨されています。

過去の人材流出問題

アジ研には以前、専門分野の研究者が大学へ転職するケースが多く見られました。この現象の要因として、給与水準の不均衡や職場環境の問題が挙げられます。しかし、アジ研は大学に途上国に関する人材を供給しており、その点では重要な役割を果たしてきたと言えるでしょう。

ERIAとの関係

加えて、アジ研は「東アジア・ASEAN経済研究センター（ERIA）」の設立にも関与しており、この機関は東アジアの経済統合を推進するための研究を行っています。これにより、アジ研は国際的な研究機関としての位置付けを強化しています。

結論

アジア経済研究所は、アジアと途上国に関する様々なテーマについて研究を展開し、それに基づいた政策提言や国際交流を通じて、経済発展に寄与しています。豊富なデータと研究成果をもとに、地域の発展を支える役割をこれからも果たしていくことでしょう。

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