アベフトシ

アベフトシ：卓越したギタリストの軌跡

アベフトシ（本名：安部太、1966年12月16日-2009年7月22日）は、日本のロックシーンに多大な影響を与えたギタリストである。広島県出身のアベは、高校卒業後、複数のバンドを経て、1994年にTHEE MICHELLE GUN ELEPHANT（TMGE）に加入。以降、TMGEのギタリストとして活躍し、日本のロック史に名を刻むことになる。

TMGEでの活躍とメジャーデビュー

TMGE加入後、アベは卓越したギターテクニックでバンドに貢献。1996年のシングル「世界の終わり」でメジャーデビューを果たし、その後数々のヒット曲を世に送り出した。独特のリフと3コード進行を駆使した彼の演奏スタイルは、TMGEの音楽性を大きく特徴づけるものとなった。寡黙で礼儀正しい性格であったアベは、ステージ上ではほとんどMCをすることはなかったが、2003年のTMGE解散ライブでは、満面の笑みで「ありがとう」と一言だけ語り、その活動に幕を閉じた。

ソロ活動と晩年

TMGE解散後もアベは音楽活動を続け、KOOLOGIへの参加やCARRIEの結成など、精力的に活動した。しかし、晩年は故郷広島に戻り、ペンキ職人として生活していた。そんな中、かつての先輩である吉川晃司からライブへの参加をオファーされ、2008年末に行われた吉川晃司のライブに出演。この時の共演は、アベにとって最後のライブパフォーマンスとなった。

急逝と音楽界への影響

2009年7月22日、アベは急性硬膜外血腫のため、42歳の若さで急逝した。その死は音楽界に大きな衝撃を与え、多くのミュージシャンが彼の死を悼んだ。彼の奏でた音楽は、今もなお多くのファンに愛され続けている。

音楽性と機材

アベフトシの音楽性において、ザ・クラッシュ、ザ・フー、ジミ・ヘンドリックスなど、多くのミュージシャンからの影響が見て取れる。特に、ミック・グリーンやウィルコ・ジョンソンからはリフ主体の楽曲制作への影響を受けていた。彼の愛用ギターは、seen製のテレキャスターカスタムタイプが有名である。ボディ材やネックシェイプなど、細部にわたるこだわりが、彼独特のサウンドを生み出していた。また、アンプはフェンダーやマーシャルなどを使用し、エフェクターはほとんど使用せずに、ギターとアンプのみで音作りをしていた。

アベフトシの人物像

アベは、寡黙で礼儀正しく、集団行動が苦手な一面を持っていた。187cmの長身で痩せ型体型であり、黒を基調としたファッションを好んでいたという。TMGEの楽曲の多くはアベのギターから始まったが、ライブでは度々曲順を間違え、他のメンバーがそれに合わせて演奏していたという逸話も残っている。

まとめ

アベフトシは、その短い生涯の中で、独自の音楽性を確立し、日本のロックシーンに大きな足跡を残した。彼の音楽は、今もなお多くのファンに聴かれ続け、その才能は後世に語り継がれるだろう。TMGEでの活躍だけでなく、ソロ活動や晩年のエピソードを通して、彼の音楽性と人間性を理解することで、アベフトシというギタリストの魅力をより深く知ることができるだろう。彼の奏でた音楽、そしてその人生は、多くのミュージシャンに影響を与え続け、これからも日本の音楽史に燦然と輝く存在であり続けるだろう。

関連書籍

* アベフトシ THEE MICHELLE GUN ELEPHANT（Guitar Magazine Special Feature Series）リットーミュージック

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