ミック・グリーン

ミック・グリーン：英国ロック・シーンを彩ったギターの巨匠

ミック・グリーン (1944年2月22日 - 2010年1月11日) は、イングランド、ダービーシャー出身のロック・ギタリスト、作曲家、そして音楽プロデューサーとして、英国ロック史に名を残す人物です。パブロック・シーンを代表するミュージシャンとして、数々のバンドで活躍し、独特のギターテクニックと音楽性で多くのアーティストに影響を与えました。

華麗なるキャリア：パイレーツから世界へ

1962年、グリーンはジョニー・キッド＆ザ・パイレーツに加入。海賊をモチーフにしたコスチュームと個性的なパフォーマンスで知られるこのバンドで、中心メンバーとして活躍しました。キッドとの共作によるオリジナル曲も多数発表し、バンドの音楽的発展に大きく貢献しました。その後、ビリー・J・クレイマー・アンド・ザ・ダコタスを経て、1976年にはジョニー・キッドの死後活動を停止していたザ・パイレーツを再結成。2010年に亡くなるまで、精力的に活動を続けました。

ザ・パイレーツ以外でも、グリーンの活動は多岐に渡ります。シャンハイでのアルバムリリース、ステイタス・クォーのツアーサポート、そしてアラン・ランカスターとの共作など、幅広い音楽シーンで活躍しました。さらに、1990年代以降は、モーターヘッドのレミー・キルミスターやポール・マッカートニーといった大物アーティストとの共演も果たしています。特に、1999年から2008年にかけては、ヴァン・モリソン・バンドのメンバーとして、アルバム制作やツアーに同行。ヴァン・モリソンの『バック・オン・トップ』(1999) や『キープ・イット・シンプル』(2008)といった作品に参加しています。

日本との関わりも深く、2001年には来日し、thee michelle gun elephantとのセッションで生まれた楽曲をシングル「KWACKER」としてリリース。また、ブライアン・フェリーのアルバム『フランティック』に参加し、ツアーにも同行しました。2004年には、フェリーのオークランド公演で心臓発作で倒れるというアクシデントに見舞われましたが、一命を取り留めています。2005年のグラストンベリー・フェスティバルでは、ヴァン・モリソン・バンドの一員として大舞台を飾りました。

唯一無二のギターテクニックと影響力

グリーンの音楽的才能は、類まれなギターテクニックにありました。リードとリズムを同時に奏でる独自のスタイルは、多くのギタリストに影響を与え、ピート・タウンゼントやウィルコ・ジョンソンなどはその影響を公言しています。特にウィルコ・ジョンソンはグリーンとの交流も深く、彼が在籍するドクター・フィールグッドは、グリーンとパイレーツへの敬意から、グリーンが作曲した「オイェー!」や共作した「ゴーイン・バック・ホーム」をアルバムに収録しました。

音楽活動以外にも、地元の学校で子供たちにギターを教えるなど、教育活動にも携わっていました。

惜しまれつつ幕を閉じた生涯

2010年1月、オフィシャルサイトでグリーンの死が公表されました。死因は明らかにされていませんが、彼の訃報は音楽界に衝撃を与えました。同年11月には、ロンドンで追悼チャリティイベントが開催され、多くの音楽仲間が彼の功績を称えました。ミック・グリーンの音楽は、これからも多くの人々にインスピレーションを与え続けるでしょう。

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