アマル

アマル（アフワジ・ムカーワマット・ルブナニーヤ）

アマルは、レバノンの政党であり民兵組織で、アラビア語で「希望」を意味します。1974年、ムーサー・アッ＝サドルによって結成され、当初はレバノンに住むシーア派イスラム教徒に基づく組織でした。彼は「シーア派イスラム評議会」の一環としてその軍事部門を構築し、当時のシーア派の社会と政治に大きな影響を与えました。

アマルは結成当初、多くのシーア派イスラム主義思想を持つ活動家によって支えられていましたが、創設者のアッ＝サドルが国外で失踪すると、運命は大きく変わります。1980年には、世俗派のナビーフ・ビッリーが代表に選出され、政治路線は世俗的な方向性を強めることとなります。このようにアマルは、シーア派における多様な考え方を受け入れながらも、時には他の派と対立することもありました。

また、アマルが受け入れなかった過激派のイスラム団体は、イランの支援を受けて「イスラーミーヤ・アマル」と呼ばれる運動を展開し、これが時としてヒズボラの結成へとつながりました。双方は、レバノン内戦という困難な状況の中で異なる立場から武装闘争を繰り広げ、シーア派内での権力を巡って共に戦ったのです。

内戦中、アマルはシーア派を支援するシリアやファタハ派からの資源を利用し、コリとした派閥との武装闘争を展開しました。また、アマルは時折、シリアの傭兵として行動することもあり、内部抗争の中で複雑な役割を果たしました。従来のイスラーム原理主義に対する反対の姿勢から、世俗的な考え方を支持するシーア派住民に恵まれる形で存在感を持つようになりました。

1990年にレバノン内戦が終結する中で、アマルは武装を解除し政党として再編成されましたが、その影響力は現在も健在であり、シリアとの親密な関係が見られます。特に現在では、アマルはレバノン国民会議における親シリア派の主要な勢力としてヒズボラと手を組んでいます。党の指導者であるナビーフ・ビッリーは、レバノン国民会議の議長に就任しており、党の政治的影響力を拡大し続けています。

アマルは、革新的な世俗路線や親シリア的政策によって、レバノンの政治システムにおいて重要な役割を果たしています。シーア派の内部分裂の一方で、今後も動き続ける組織の存在が注目されることでしょう。

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