アミメカゲロウ目

アミメカゲロウ目の詳細

アミメカゲロウ目（Neuroptera）は、有翅亜綱に分類される昆虫の一群です。以前はヘビトンボ目やラクダムシ目と共に広義のアミメカゲロウ目として扱われていましたが、現在はそれぞれ独立した目とされています。これらの目を一括りにする形で脈翅上目（Neuropterida）と呼ぶことが一般的です。

成虫の特徴

アミメカゲロウ目の成虫は、細長い体と大きな柔らかい翅を特徴としています。特に歩脚はあまり発達しておらず、カゲロウやトンボに類似している点が多くあります。しかし、これらの昆虫とは異なり、アミメカゲロウ目は完全変態を経る昆虫です。成虫は短命である場合が多いものの、摂食する種もあり、越冬することもあるため、様々な生態的特徴を持ちます。

成虫の口器は咀嚼式で、通常は触角が糸状または数珠状です。体形はトンボに似ていますが、一部の種では胸部が大きいヒメカゲロウのような特徴も見られます。また、翅の脈は外縁近くで細かく分かれ、翅を重ねて背面に畳むことが可能な点も興味深い部分です。性の特徴として外部生殖器が発達している種もいくつか確認されており、腹部は通常円筒形で十環節からなっています。特に多くの種では前翅と後翅の大きさが同形または前翅が大きいことが特徴です。

卵・幼虫・蛹の特徴

アミメカゲロウ目の卵は多様な構造を持ち、クサカゲロウやカマキリモドキのように長い糸状の柄に卵を付着させる種類もあります。この場合、卵は「憂曇華」と呼ばれる構造を取ります。

幼虫は主に陸生であり、淡水生の種も存在します。成人のアミメカゲロウに似た柔らかな体形を持っており、胸部には三対の歩脚があって運動に寄与しますが、腹部には歩脚がありません。多くの種は肉食性であり、ウスバカゲロウの幼虫であるアリジゴクなどは、高度に発達した大腮を用いて小さな昆虫を捕まえ、特殊化した口器で体液を吸います。蛹化の際には繭を作り、その中で変態を行います。

分類

アミメカゲロウ目は以下のように分類されます：

• - オオアミカゲロウ上科 (Ithonoidea) - オオアミカゲロウ科 (Ithonidae)
• - ヒロバカゲロウ上科 (Osmyloidea) - ヒロバカゲロウ科 (Osmylidae)
• - クシヒゲカゲロウ科 (Dilaridae)
• - シロカゲロウ科 (Neurorthidae)
• - ミズカゲロウ科 (Sisyridae)
• - ヒメカゲロウ上科 (Hemerobioidea) - ヒメカゲロウ科 (Hemerobiidae)
• - クサカゲロウ科 (Chrysopidae)
• - コナカゲロウ上科 (Coniopterygoidea) - コナカゲロウ科 (Coniopterygidae)
• - カマキリモドキ上科 (Mantispoidea) - ケカゲロウ科 (Berothidae)
• - トガマムシ科 (Rhachiberothidae)
• - カマキリモドキ科 (Mantispidae)
• - ウスバカゲロウ上科 (Myrmeleontoidea) - ツノトンボ科 (Ascalaphidae)
• - ウスバカゲロウ科 (Myrmeleontidae)

系統

最近の分子系統解析により、アミメカゲロウ目はヘビトンボ目と姉妹群の関係にあり、この2目から構成される系統がラクダムシ目と親戚関係にあることが示されています。しかし、この系統はまだ決定的ではなく、研究は続けられています。また化石もこの系統の理解に寄与しています。

アミメカゲロウ目は多様性と独自の生態を持つ昆虫の一群であり、その研究は環境や生物多様性にとって重要な材料となっています。

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