アンドヴァリ

アンドヴァリ：呪われた財宝を巡るドワーフ

アンドヴァリ（古ノルド語: Andvari、「吝嗇なもの」の意）は、北欧神話に登場する熟練したドワーフであり、特に財宝と呪いに関連する物語で知られています。彼は滝の近くに住み、自らの意志で魚に変身する能力を持っていました。しかし、何よりも彼を有名にしているのは、富をもたらす魔法の指輪アンドヴァラナウトを所有していたことです。

指環の強奪と呪い

物語は、ロキがドワーフのオトを殺害したことから始まります。オトの父であるフレイズマルは、ロキに対し、その贖罪として莫大な賠償金を要求しました。賠償金を集めるため、ロキは海の女神ラーンから与えられた網を使って、カワカマスに変身していたアンドヴァリを捕らえ、彼が所有する全ての黄金を奪い取ろうとしました。

アンドヴァリは必死に抵抗し、アンドヴァラナウトを隠そうとしましたが、ロキの目をごまかすことはできませんでした。指輪を取り上げられたアンドヴァリは、それが財産を増やせる魔法の指輪であることを告げ、返還を懇願しました。しかし、ロキは彼の願いを聞き入れませんでした。絶望したアンドヴァリは、指輪を手に入れた者に破滅をもたらすという恐ろしい呪いをかけました。この呪いは、後に多くの悲劇を引き起こすことになります。

ロキはフレイズマルに黄金を引き渡しましたが、指輪の呪いのことは伝えました。この呪いが、フレイズマル一族にどのような災いをもたらすのかは、想像に難くありません。

指輪の行方とアンドヴァリの復讐

ブリュンヒルドとシグルズの死後、グンナルはアンドヴァリから奪われた黄金を洞窟に残しました。長い年月を経て、アンドヴァリは洞窟を発見し、黄金を取り戻すことに成功しました。しかし、彼の魔法の指輪アンドヴァラナウトは、永遠に失われたままだったのです。

アンドヴァリの物語は、財産への執着と、それがもたらす破滅的な結果を描いています。また、呪いの力、そして復讐の連鎖というテーマも含まれています。彼は、財宝を失った悲しみと、それを取り戻す執念を抱えながら、物語の中で重要な役割を果たし続けています。

ワーグナーの楽劇への影響

リヒャルト・ワーグナーの楽劇『ニーベルングの指環』の作品群では、アルベリッヒというキャラクターが登場します。アルベリッヒの性格や設定の一部は、アンドヴァリに基づいていると考えられています。ただし、ワーグナーはフランクの魔法使いアルベリッヒからも影響を受けており、両者の要素が組み合わさって、独自のキャラクターが創造されています。

アンドヴァリの物語は、北欧神話の中でも特に悲劇的で、教訓的な要素を含んでいます。彼の運命は、財産への過度な執着が、いかに人を破滅へと導くかを示唆していると言えるでしょう。

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