ウェルネスツーリズム

ウェルネスツーリズムとは

ウェルネスツーリズムとは、旅行を通じて心身の健康を促進する活動です。具体的には、スパ、ヨガ、瞑想、フィットネス、健康的な食事、レクリエーション、地域交流などを体験することで、心と体のバランスを整え、新しい発見や自己成長を促します。また、日々の生活から離れてリフレッシュし、明日への活力を得ることを目的としています。

ウェルネスツーリズムの起源

ウェルネスツーリズムのルーツは、スパツーリズムに遡ることができます。古代ローマ時代には、戦士たちが傷や病気の治療のために温泉を利用しており、これがスパツーリズムの始まりとされています。中世には、温泉の医学的効果が検証され、18世紀頃には王侯貴族の保養地として発展しました。

日本においても、温泉湯治の文化が古くから存在します。『古事記』や『日本書紀』には、貴族が病気の治癒や療養のために温泉を利用していた記述が見られます。江戸時代になると、温泉湯治は娯楽観光と結びつき、庶民にも広く普及しました。

現代のウェルネスツーリズム

現代のウェルネスツーリズムは、医療的な要素の強いものから、健康増進、リラクゼーション、食事療法、運動、美容など、多岐にわたる要素で構成されています。具体的なプログラムとしては、食、運動、保養、温泉、スパ、スポーツ、レクリエーション、文化体験、相補代替療法、西洋医療などが提供されています。

ウェルネスツーリズムの市場規模

グローバルウェルネスインスティチュート（GWI）の調査によると、2015年には世界中で6億9,000万人がウェルネスツーリズムに参加しており、全世界の旅行収入の15.6％を占めています。ウェルネスツーリズムに参加する旅行者の支出額は、一般的な旅行者に比べて159％高く、経済効果は1.5兆ドル、雇用効果は3,280万人分に相当すると試算されています。

日本のウェルネスツーリズム

琉球大学の荒川らは、日本のウェルネスツーリズムのモデルを提唱しています。四季折々の美しい自然、豊かな温泉資源、海洋資源、和食に代表される日本食、精神文化、伝統文化、そして長寿の知恵といった独自の資源を「ウェルネス資源」として活用し、心身のバランスを整える旅を提案しています。この旅を通じて、新しい発見、自己開発、そして自分自身を見つめ直す「原点回帰」を促すことを目的としています。

名古屋市では、2022年度から都市型ウェルネスツーリズムを「ウェルネスタイルなごや（Wellnestyle NAGOYA）」としてブランディングし、新たな観光客誘致策として推進しています。

まとめ

ウェルネスツーリズムは、心身の健康を促進し、自己成長を促す旅の形態として、今後ますます注目されていくと考えられます。旅行を通じて、心身ともにリフレッシュし、より豊かな生活を送るための手段として、ウェルネスツーリズムを検討してみてはいかがでしょうか。

参考文献
Melanie Smith and László Puczkó(2009). Health and wellness tourism, Butterworth-Heinemann.
荒川 雅志 著、NPO日本スパ振興協会編著「ウェルネスツーリズム～サードプレイスへの旅～」フレグランスジャーナル社（2017）

関連項目
ウェルネス
ヘルスツーリズム

外部リンク
国立大学法人琉球大学ウェルネス研究分野
医療旅行とは何ですか？

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