ウッドショック

ウッドショック（Woodshock）

ウッドショックとは、2021年前半にアメリカ合衆国で発生した木材価格の急激な高騰と、それによって引き起こされた様々な経済的問題を指す言葉です。この名称は、1970年代に発生した石油ショックに由来しています。

背景

新型コロナウイルス感染症（COVID-19）の影響により、2020年の初め、特に1月から4月にかけて、アメリカでは新築住宅の着工件数が著しく減少しました。しかし、5月以降の経済回復は急速でした。この回復の主な要因は、超低金利政策、ワクチン接種の進展、そしてリモートワークの普及です。これにより、郊外地域での住宅購入やリフォームの需要が高まりました。

需給バランスの崩壊

しかしながら、製材所の休業やアメリカ西海岸での大規模な山火事などが影響し、建築用木材の供給が逼迫しました。結果として需給関係が崩れ、木材の価格が急騰する事態が発生しました。この状態は世界的に波及し、材木先物相場においても投機的思惑が入り込み、木材価格は最大で4倍にまで上昇しました。2022年末にはこの現象は収束しましたが、影響は大きなものでした。

影響と対応

アメリカでは、シカゴ・マーカンタイル取引所での木材先物価格は2020年4月の安値に対して約6倍に達しました。この高騰は「木材高により、何百万もの家庭が住宅を購入できなくなっている」という懸念を呼び起こし、バイデン政権の幹部との会議でも数多くの話題とされました。実際、平均的な新築一戸建ての価格は約36,000ドル上昇し、新築アパートの家賃も月119ドルの増加が見込まれました。

日本への影響

日本でもウッドショックの影響が見られました。輸入木材の価格が高騰し、調達も困難になる事態が発生しました。2020年の住宅着工はコロナ禍で減少したものの、2020年6月には急速に回復し、2021年3月には173万9,000戸という数値を記録しました。これは2006年以来の高水準です。日本の木材自給率は約3割で、残りは輸入材に依存しています。特に、丸太の約50％はアメリカから、製材の30％はカナダとアメリカに頼っており、「買い負け」が顕著となっています。

ウッドショックを受けて出荷体制を強化しようとする森林組合が増加しましたが、2022年の木材価格の正常化に伴い、兵庫県の北はりま森林組合では、山から切り出した木材が滞留するという問題も発生しました。これは、需要の急激な変化に対する調整がなされない結果であり、ウッドショックの複雑な影響を示しています。

結論

ウッドショックは単なる木材価格の高騰にとどまらず、住宅市場や関連産業にまで波及する大きな問題でした。アメリカ、日本の両国での影響を踏まえると、今後の木材需要や供給体制の再構築が重要となってくるでしょう。

もう一度検索