エドモンド・モレル

エドモンド・モレルの生涯と日本の鉄道への貢献

エドモンド・モレルは1840年11月17日、ロンドンのピカデリーで生まれました。彼はキングス・カレッジ・スクール、そしてキングス・カレッジ・ロンドンで学び、土木技術の専門家としてのキャリアを築いていきました。最初のキャリアとしては、オーストラリアのメルボルンにおける土木技術者としての8か月間を経て、ニュージーランドへ移り、自治体の技術者として働きました。1865年にはイギリス土木学会の準会員に加入し、技術者としての名声を得ていきます。

1866年にはラブアン島で石炭輸送用の鉄道建設に従事しました。しかし本格的な転機は、彼が日本へ赴任することになった経緯です。1870年にホレイショ・ネルソン・レイと会談し、日本における鉄道建設の責任者として選ばれることが決まりました。モレルはその際、妻のハリエットと共に日本へ向かい、1870年4月9日に横浜港に到着しました。

彼の日本での役割は重要であり、イギリス公使ハリー・パークスの推薦を受けて建築師長として任命されました。副主任として転任したジョン・ダイアックや他の技術者たちと共に、日本での鉄道技術の確立に寄与しました。その中で、鉄道の軌間を1,067 mmに決定し、当初の鉄製枕木を木製に変更するなど、日本の実情に応じた提案を行いました。このような提案は外貨の節約をもたらし、国内産業の育成にも貢献しました。彼の努力により、モレルは「日本の鉄道の恩人」として讃えられました。

しかし、モレルの健康は悪化しており、日本に到着したときには既に肺の疾患を抱えていました。1871年にはインドへの療養を希望し、政府からも療養費として5,000円が支給されましたが、結核により同年11月5日に横浜で亡くなりました。その直後には、妻のハリエットも急性疾患によりこの世を去りました。

モレルの遺志は副主任のジョン・ダイアックたちによって引き継がれ、1872年には日本の鉄道が開業しました。さらに、1877年には技師の養成所も設立され、日本の鉄道技術が大きく発展する礎となりました。

記念碑と墓地

モレルを偲ぶ「モレルの碑」は横浜の桜木町駅近くにあり、鉄道発祥記念碑とともに設置されています。また、横浜外国人墓地には彼の墓所があり、1962年には鉄道記念物として指定されました。墓の横には「連理の梅」と呼ばれる梅の木が植えられ、夫婦愛の象徴となっています。関東大震災後に荒廃しましたが、戦後には新たに梅が植えられ、近年にも植樹が行われています。

モレルの墓は、1942年の鉄道開業70周年記念事業以降もその重要性が認識され、1992年にはレリーフが設置されるなど、彼の功績が後世に引き継がれています。また、モレルに加え、彼の同僚であるジョン・ダイアックの墓も準鉄道記念物として認定されています。

経歴に関する誤解

モレルの経歴には多くの誤解が存在しています。生年に関する誤情報が流布されていましたが、正式な証明書によって1840年生まれであることが確認されています。また、ラブアン島に関する誤解や、彼の妻が日本人であるという誤情報も広まっていますが、これらは小説からの誤解に基づいています。モレルはイギリスでハリエットと結婚し、日本へ同行していました。こうした誤解に基づく情報は、モレルに関する正確な理解を妨げる原因となっています。

エドモンド・モレルは、単なる技術者にとどまらず、日本の鉄道の発展に大きく寄与した人物です。その生涯と業績は現在でも語り継がれ、多くの人々に影響を与え続けています。

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