エンジー

エンジー（ENGIE）：グローバルエネルギー企業の軌跡

エンジーは、フランスに本社を置く世界的なエネルギー企業です。電力とガスの供給において世界2位の売上高を誇り、約70カ国で事業を展開しています。その歴史は、2008年のフランスガス公社(GDF)とスエズの合併に端を発します。GDFスエズとして発足した同社は、2015年に現在の社名に変更されました。ユーロネクスト・パリにも上場しており、CAC 40の構成銘柄にも名を連ねています。

誕生と成長：GDFスエズの統合

エンジーの前身であるGDFスエズは、2006年のド・ヴィルパン首相によるGDFとスエズの合併構想から始まりました。この合併は、世界最大の天然ガス供給事業者を目指すものでした。フランス政府がGDFの株式の80％以上を保有していたため、法改正が必要となり、合併案は政治的な議論を巻き起こしました。特に、電力料金の引き上げ懸念や合併手続きの透明性に関する懸念が、左派や労働組合から提起されました。しかし、最終的に合併は実現し、2008年7月22日にGDFスエズが発足しました。合併に際しては、競争当局の承認を得るため、GDFは保有していたベルギーの電力会社の一部株式を売却するなど、市場競争への配慮も行われました。政府のGDF株式保有率は合併後、80％から35％に減少しました。同時に、水道事業はスエズ・エンバイロメント（現スエズ）として分社化されました。

2009年には、欧州委員会から、競争法違反に関する制裁金が科せられました。これは、過去に行われていた市場参入制限に関する取り決めが原因でした。

事業領域：多様なエネルギーソリューション

エンジーは、電力事業と天然ガス事業の両方を展開しています。

電力事業

フランスでは、フランス電力公社に次ぐ規模の電力事業者として、水力発電や風力発電などの再生可能エネルギーを積極的に活用しています。再生可能エネルギーによる発電量は全体の約70％を占めます。特に風力発電分野では、積極的に企業買収を行い、事業拡大を図ってきました。一方、天然ガス火力発電所も保有しており、既存施設の拡充に加え、新たな発電所の建設も進めています。太陽光発電にも取り組んでおり、多様な再生可能エネルギー源への投資を進めています。

フランス国外においても、ベルギー、オランダ、ブラジル、タイなど世界各国で、火力、水力、風力、原子力、コジェネレーション、バイオマス発電など、多様な発電所を運営しています。

天然ガス事業

天然ガス事業では、フランス国内で、個人向け、中小企業向け、政府・地方公共団体向け、大企業向けなど、様々な顧客層に対応したサービスを提供しています。

主要子会社と関連会社

エンジーは、電力事業、ガス事業、施設整備・サービス、エンジニアリング・コンサルティングなど、幅広い事業分野にわたる多くの子会社と関連会社を有しています。例えば、ベルギー最大の電力事業者であるElectrabelや、フランスのガス供給事業者GRTgazなど、重要な役割を担う企業が含まれます。また、スエズ（水道事業）やインターナショナル・パワー（イギリスの大手電力会社）といった企業にも資本参加しています。

まとめ

エンジーは、GDFスエズという歴史的背景を持つグローバルなエネルギー企業として、電力とガスの供給を中核事業としつつ、再生可能エネルギーへの積極的な投資や、多様な事業展開を通じて、持続可能なエネルギー社会の実現に貢献しています。今後も、世界的なエネルギー需給の変化に対応しながら、事業ポートフォリオの最適化や技術革新による成長が期待されます。

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