オイルショック

オイルショック

概要

オイルショックとは、1970年代に発生した2つの大規模な原油の供給不足と価格高騰による国際的な経済混乱を指す。これにより「石油危機」とも呼ばれる事態が生じ、特に1973年と1978年に起きた。これらの事象は、石油輸出国機構（OPEC）によって引き起こされたもので、世界経済に深刻な影響を与えた。

第1次オイルショック

発生の背景

1973年10月に勃発した第四次中東戦争により、OPECの6カ国が原油価格を大幅に引き上げた。例えば、原油の公示価格は1バレル3.01ドルから5.12ドルへ上昇した。そして翌日にはOAPECが原油生産の削減を決定し、10月20日以降はイスラエルに支持を示す国々への経済制裁が開始された。この時期、OPEC加盟国の国際収支は急激に増加し、一般市民への影響も広がった。

日本における事情

日本は中東への関与が少なかったものの、米国との強固な軍事同盟から影響を受けた。田中角栄元首相は、中立性を訴えるために急遽外交を展開し、日本国内では「国民生活安定緊急措置法」などの法律が制定され、当時の経済状況への対策が実施された。

経済への影響

オイルショック前からの円高不況に加え、石油価格の急騰は日本経済にさらなる圧力をかけた。1974年には消費者物価指数が23%上昇し、「狂乱物価」という用語も生まれた。政府は公定歩合の引き上げや公共投資の縮小を進め、結果として戦後初めてのマイナス成長を経験した。

第2次オイルショック

発生の要因

1979年にイラン革命が起き、石油生産が中断されたことから再度の価格高騰が発生。OPECは段階的に原油価格を引き上げ始め、他国にも悪影響を及ぼしたが、第1次オイルショックからの教訓をもとに、日本経済への影響は比較的軽微だった。

日本の対応

日本は、労使協調による賃上げ抑制や省エネルギー施策の導入により、経済の安定を図った。インフレの進行とともに多様なエネルギー源の開発が模索され、長期的にはエネルギー効率の向上が促進された。

経済構造の変化

このオイルショック以降、先進国は中東の石油供給に依存する危険性を再認識した。供給リスクへの対処として、原子力や再生可能エネルギーの活用が進み、省エネルギー技術の開発も加速した。特に公共交通機関の利用促進や、モーダルシフトが重視されるようになった。

その後の影響

後半にはオイルショックを契機に、1975年には主要国首脳会議（サミット）が開かれるほど、油を巡る国際的な議論が活発化した。オイルショックを経験したことで、各国はエネルギーの diversified（多様化）を進め、その後の経済政策に影響を与えた。

結論

オイルショックは単なる価格変動に留まらず、エネルギー政策や経済構造にまで影響を与えた重要な出来事であり、今後のエネルギー安全保障に対する考え方にも大きな変革を促した。

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