オオトウゾクカモメ

オオトウゾクカモメについて

オオトウゾクカモメ（学名：Catharacta maccormicki）は、チドリ目トウゾクカモメ科に属する海鳥で、その名の通り、他の水鳥から餌を奪う「盗賊」として知られています。この鳥は、世界中の洋上で見られますが、繁殖地は主に南極大陸付近に広がります。

形態の特徴

体長は約50cmで、翼を広げると130cmにもなり、その大きな翼を使った優れた飛翔能力が特徴です。体の羽毛は黒褐色で、頭から胸にかけてはやや淡い灰褐色をしています。ただし、個体によってその色の濃淡は異なり、全身が黒褐色の個体も見られることがあります。飛行中には、翼の初列風切の基部に目立つ白色の斑点が見られるため、遠くからでも識別が可能です。また、嘴はしっかりとした黒色で、獲物を捕らえるのに適した形状をしています。

生息地と分布

この鳥は南極海を中心に繁殖し、移動中には日本近海にも現れます。春から夏にかけては特に、北海道から本州北部の海域でその姿を見かけることができます。秋から冬にかけても、日本の近海に留まる個体がいることが確認されています。興味深いことに、日本近海にいるオオトウゾクカモメの一部は、南極で金属の足環を装着された個体であることが確認されており、標識調査によってその渡り経路が解明されています。

生態と行動

オオトウゾクカモメは、洋上に浮かぶ他の水鳥を探し求めて飛び回ります。獲物を見つけると、空中で攻撃を仕掛け、その水鳥が獲物を放したり、吐き出したりする瞬間を見計らって奪い取ります。また、卵やヒナを狙い、繁殖地にも侵入して親鳥の隙をついて捕食するため、ペンギンやカモメ、ウミガラスなどにとっては大きな脅威と言えるでしょう。

繁殖期にはコロニーを作り、各巣には明確な縄張りがあります。他の個体が縄張り内に侵入することを許さず、時には人間に対しても空中から攻撃してくることがあります。それほど縄張り意識が強い鳥であり、非常に防衛的な性質を持っています。

学名と分類の歴史

日本におけるオオトウゾクカモメの発見は1917年に遡ります。鳥類学者の松平頼孝が相模湾江ノ島沖で数個体を採集し、その際に鷹司信輔が「オホトウゾクカモメ」という和名を付けました。鷹司はその後、日本産のオオトウゾクカモメを新種と見なして、学名をCatharacta matsudairaeとしましたが、後の研究でこの名前はCatharacta maccormickiのシノニムと判明し、現在ではmaccormickiが正式に使われています。

オオトウゾクカモメ属の分類については異説があり、トウゾクカモメ科の他の種とも混同されることがあります。現在の一般的な分類法では、オオトウゾクカモメはCatharacta maccormickiという学名のもとで知られています。

このようにオオトウゾクカモメは、そのユニークな生態と行動から、多くの鳥類愛好家や研究者によって注目されています。興味や関心があれば、ぜひこの鳥の観察を試みてください。

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