ウミガラス

ウミガラス（海烏）とは

ウミガラス（学名：Uria aalge）は、チドリ目ウミスズメ科に属する海鳥の一種です。現生のウミスズメ類の中では比較的大型で、ペンギンのような直立歩行が特徴的です。

形態

体長は約40cm、体重は約1160g。亜種inornataはウミスズメ科の中で最大です。夏羽は背中が暗褐色、腹が白いのが特徴です。冬羽になると、頬の白い部分が広がります。くちばしは長く、足は体の後方に位置し、短い翼と尾を持っています。ハシブトウミガラスと似ていますが、ウミガラスの方が背の色が薄く、くちばしの形状にも違いがあります。

分布

北太平洋、北大西洋、北極海に広く分布しています。日本周辺では、樺太やハバロフスク、北方領土などに分布し、冬には本州北部まで南下します。

生態

採餌

水中を翼を使って泳ぎ、潜水を得意とします。水深50mまで潜ることができ、最深記録は180mにも達します。イカ、シシャモ、イカナゴ、カジカ、ギンポなどを捕食します。雛への給餌は、半ば消化した状態で運びます。

飛翔

短い翼を高速で羽ばたかせ、海面近くを飛びます。

繁殖

繁殖期には、無人島や崖などの天敵が近づけない場所に集団でコロニーを形成します。巣は作らず、岩や土の上に直接卵を産みます。卵はセイヨウナシ型で、転がっても落ちにくい形状をしています。抱卵日数は平均33日。雛は約21日間繁殖地で過ごした後、海へ巣立ち、その後2ヶ月間は親鳥の世話を受けます。

天敵

卵や雛は、カモメやカラスに捕食されます。親鳥は、猛禽類や海獣、陸生哺乳類に狙われます。

生息状況

かつては北海道の天売島などで繁殖し、「オロロン鳥」と呼ばれていました。しかし、漁網による混獲や観光の影響、天敵の増加、餌資源の減少などにより、個体数が減少しています。近年、天売島では繁殖個体群の回復のため、デコイや音声装置の設置、天敵対策などの保護活動が行われています。

天売島での取り組み

天売島は、現在国内で唯一の繁殖地となっています。環境省などが保護増殖に取り組み、2024年には122羽の飛来が確認されました。しかし、オオセグロカモメなどの天敵による捕食圧が高く、繁殖は依然として困難な状況です。そのため、営巣地周辺に模型を設置したり、鳴き声の音声を流したりするなどの対策が行われています。

地球温暖化の影響

2024年の研究によると、地球温暖化による海洋熱波により、アラスカのウミガラスが大量死しました。熱波前後の7年間で、個体数が52〜78%も急減し、400万羽が失われたとされています。これは、現代で記録された最大規模の野生生物大量死であり、ウミガラスの存続を脅かす深刻な問題となっています。

関連情報

合唱組曲「海鳥の詩」 - 更科源蔵作詞・廣瀬量平作曲。1曲目が「オロロン鳥」
混声合唱のための組曲「復活」 - 鶴見正夫作詩・荻久保和明。2曲目「ウミガラス」

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