オオルリ

オオルリ（大瑠璃）

オオルリ（学名：Cyanoptila cyanomelana）は、ヒタキ科オオルリ属に分類される美しい鳥です。その名の通り、オスは鮮やかな瑠璃色（青色）の羽毛を持ち、見る者を魅了します。日本では夏鳥として渡来し、繁殖を行います。

形態

オオルリの全長は約16cm、翼を広げると約27cmになります。オスの成鳥は、背中から尾にかけて光沢のある青色で、尾の付け根には白い斑点があります。顔と喉は黒く、腹部は白色です。一方、メスは頭から尾にかけて茶褐色で、喉と腹部は白く、胸と脇に褐色の模様が入ります。

オスの羽色は、成長とともに変化します。若いオスはメスに似た茶褐色の羽毛を持ち、徐々に青色の部分が増えていきます。美しい青色になるまでには、2〜3年かかると考えられています。そのため、若鳥のオスは、キビタキやコサメビタキのメスと見間違われることがあります。

鳴き声

オオルリの地鳴きは「クッ、クッ」という短い音です。さえずりは、美しく澄んだ声で「ピリーリー、ポィヒーリー、ピールリ、ピールリ、ジィ、ジィ」とゆっくりと鳴きます。その美しい鳴き声は、ウグイス、コマドリと並び、日本三鳴鳥の一つに数えられています。また、メスも稀にさえずることがあります。

分布

オオルリは、旧北区に広く分布しています。中国東北部、ウスリー、朝鮮半島、そして日本で繁殖し、冬になるとインドシナ半島や大スンダ列島、フィリピンなどに渡って越冬します。日本には、4月下旬頃に夏鳥として渡来し、南西諸島を除く北海道から九州までの各地で繁殖します。10月頃までその姿を見ることができます。

生態

オオルリは、低山帯から亜高山帯にかけての森林に生息します。特に、渓流沿いのよく茂った森林を好み、そこで飛翔する昆虫を捕食します。また、クモ類なども食べます。巣は、渓流沿いの岩壁や土壁のくぼみなどに、コケを使って作られます。繁殖期には、オスは木の梢で大きな声でさえずり、縄張りを主張します。渡りの時期には、市街地の公園などでも観察されることがあります。

種の保全状況

オオルリは、国際自然保護連合（IUCN）によって、レッドリストの軽度懸念（LC）に指定されています。日本では、多くの都道府県でレッドリストに指定されており、地域によっては絶滅の危機に瀕しています。

かつては、美しい姿と鳴き声を楽しむために飼い鳥として人気がありましたが、現在は鳥獣保護法により、愛玩目的での飼育は禁止されています。しかし、未だに違法な飼育が後を絶ちません。オオルリの保護のためには、生息地の保全とともに、違法な捕獲や飼育を防ぐための啓発活動が重要です。

近縁種

チョウセンオオルリ（Cyanoptila cumatilis）は、かつてオオルリの亜種と考えられていましたが、現在は独立した種として扱われています。中国中部に生息し、冬季はマレー半島、スマトラ島、ジャワ島へ渡ります。

自治体の鳥

オオルリは、以下の自治体で指定の鳥となっています。これは、オオルリがその地域の自然を象徴する存在として、大切にされていることを示しています。

都道府県：栃木県
市：妙高市、東御市、秩父市、八王子市、笛吹市、島田市、南丹市
町：山都町
村：馬路村、南阿蘇村

オオルリは、その美しい姿と鳴き声で、私たちに自然の豊かさを教えてくれる貴重な存在です。これからも、オオルリが安心して暮らせる環境を守り、次世代に引き継いでいくことが私たちの使命です。

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