オリンピック選手

オリンピック選手とは、夏季・冬季のオリンピック競技大会に出場するアスリートを指す言葉です。多くの場合、近代オリンピックの舞台に立った選手を指し、「オリンピアン」という別称も広く知られています。この名称は、国際オリンピック委員会（IOC）の承認を得て開催されるパラリンピックやスペシャルオリンピックス、デフリンピック、ユースオリンピックといった大会の出場者にも応用され、それぞれの大会名に「ン」を付けて「パラリンピアン」のように呼ばれることもあります。

以下では、特に断りがない限り、日本におけるオリンピック選手に関する状況を中心に記述します。

オリンピック競技大会へ出場する選手の選考基準は、各競技を統括する国内の協会や連盟によって策定されます。その基準は競技ごとに多岐にわたり、一般的には、国内外で開催される代表選手選考のための競技会で優れた成績を収めた選手が選ばれる傾向にあります。しかし、時にはその選考基準が曖昧であるとして、選手選考が論争を巻き起こすケースも発生します。過去には、2000年のシドニー大会における水泳の千葉すず選手の選考漏れ、2004年アテネ大会でのマラソン高橋尚子選手の代表選考、そして2008年北京大会での柔道谷亮子選手（当時）の代表決定などが、メディアや世論の間で議論を呼んだ代表的な事例として挙げられます。また、競技団体内部の対立が原因で、選手の出場が危ぶまれた特異な例も存在します。2004年のアテネ大会においては、テコンドーの岡本依子選手が、所属団体の分裂問題に巻き込まれ、その出場資格が一時不透明となる事態に直面しました。

日本において、オリンピックへの出場を目指す、あるいは出場が決定した選手のうち、日本オリンピック委員会（JOC）によって「強化選手」として認定されたアスリートは、様々なサポートを受けることができます。これには、専門的な健康診断による体調管理、各競技分野の専門家によるコーチング指導、国内外での集中的な強化合宿への参加などが含まれ、競技力向上を図る上で重要な支援となっています。

オリンピック競技大会の開催期間中、選手たちは出身国ごとに選手団を結成し、大会組織委員会が用意したオリンピック選手村に滞在するのが一般的です。選手村は、選手たちが競技に集中しつつ、休息を取り、世界中から集まる他の国のアスリートと交流する場となります。競技会場への移動は、主に大会側が提供する専用の輸送手段（バスなど）を利用して行われ、選手の移動負担を軽減する配慮がなされています。

オリンピック競技大会への出場は、多くのアスリートにとってキャリアの大きな節目となります。大会後も現役選手として競技を続ける道を選ぶ者もいますが、一方で競技生活からの引退を決断する者も少なくありません。引退後のキャリアは多様であり、後進の指導にあたるコーチや監督、メディアで競技解説を行う解説者となる他、知名度や経験を活かしてタレント活動や講演活動を行うなど、スポーツとは異なる分野で活躍する道を選ぶ人もいます。

笹川スポーツ財団が実施した調査によれば、引退した日本のオリンピアン（オリンピック経験者）における正規雇用率は55.7％でした。また、年収に関しては300万円以下であると回答した層が最も多かったという結果が出ており、必ずしも安定したキャリアや高い収入が保証されているわけではないという、競技生活後の厳しい現実も指摘されています。選手たちは競技中の努力だけでなく、引退後のキャリア形成においても様々な課題に直面しています。

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