オレイン酸

オレイン酸：性質、生成、生体への影響

オレイン酸は、動物性脂肪や植物油に豊富に含まれる脂肪酸です。化学的には、18個の炭素原子を鎖状に持ち、その9番目の炭素原子間に二重結合を持つ一価不飽和[[脂肪酸]]です。オリーブ油から発見されたことにちなみ、その名が付けられました。

オレイン酸の物理的性質

オレイン酸は、浅黄色から黄褐色の液体で、特有のにおいを持っています。水には溶けませんが、アセトンやエーテルなどの有機溶媒には溶解します。融点は約16℃と比較的低く、常温では液体です。

オレイン酸の生成

私たちの体内でオレイン酸は、ステアリン酸から生成されます。ステアリン酸は、脂肪酸合成酵素によって作られる飽和脂肪酸です。このステアリン酸に、ステアロイルCoA 9-デサチュラーゼという酵素が働き、二重結合が導入されてオレイン酸となります。この酵素反応は、体脂肪の融点を下げ、体温下で脂肪が液体状を保つのに重要な役割を果たしています。

動物では、体脂肪の約半分をオレイン酸が占める場合もあります。例えば、豚のラードや牛のヘットには、多くのオレイン酸が含まれています。母乳にも、全脂肪酸の約3分の1がオレイン酸です。

植物や微生物では、オレイン酸はさらに酵素反応によりリノール酸、α-リノレン酸へと変換されます。しかし、人間を含む動物はこれらの酵素を持たないため、リノール酸とα-リノレン酸は体内で合成できず、食事からの摂取が必須となる「必須脂肪酸」です。

オレイン酸と皮膚

オレイン酸は化粧品原料として広く用いられていますが、皮膚への影響は複雑です。適量であれば保湿効果が期待できますが、過剰な使用は皮膚バリア機能を破壊する可能性があります。

特に、脂漏性皮膚炎の悪化や、フケ症状の悪化を引き起こす可能性が示唆されています。これは、オレイン酸が角質層の脂質構造を乱し、皮膚の水分保持能力を低下させるためと考えられています。動物実験では、オレイン酸が角質細胞の凝集性を低下させ、角質層を除去することが報告されています。また、オレイン酸の多いオリーブオイルなどは、皮膚の透過性を高めるという報告もあります。

オレイン酸のその他

オレイン酸は、食品に含まれるだけでなく、様々な産業用途にも用いられています。例えば、洗剤や潤滑油など、多様な製品に含まれています。

まとめ

オレイン酸は、私たちの体にとって重要な脂肪酸です。食品を通して摂取されるだけでなく、体内で生成され、様々な生理機能に関与しています。しかし、その一方で、皮膚への影響は注意深く検討する必要があります。オレイン酸の特性を理解し、適切に利用することが重要です。

参考文献: (該当する学術論文や書籍の参照情報をここに記載する必要があります。)

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