オーケストラ・アンサンブル金沢

オーケストラ・アンサンブル金沢

オーケストラ・アンサンブル金沢（OEK）は、日本の石川県金沢市に位置するプロの室内管弦楽団です。1988年に設立されたこのオーケストラは、約30名の団員で構成され、特に二管編成の作品を主な演目として演奏しています。OEKは日本オーケストラ連盟の正会員であり、音楽界において幅広く活動しています。

設立と運営の背景

このオーケストラは、石川県と金沢市が中心となり設立した財団法人、石川県音楽文化振興事業団によって運営されています。2001年からは、石川県立音楽堂を拠点に、定期的に演奏会を行っています。特に目を引くのは、毎年新曲を作曲家に委託する「コンポーザー・オブ・ザイヤー」という制度で、これにより現代音楽の制作と発表にも力を入れています。OEKは日本初の常設プロフェッショナル室内管弦楽団であり、その影響力は多岐にわたります。

音楽的特徴とレパートリー

OEKの音楽の特性として、結成当初からのスラヴ系奏者の参加による独特な響きが挙げられます。特に弦楽合奏においては、その音色が「ビロードのような質感」と称されています。レパートリーは多岐にわたり、ロシアの作曲家チャイコフスキーやシチェドリンだけでなく、古典派のハイドンやモーツァルト、ロマン派のブラームスまで広がっています。また、ベートーヴェンの交響楽も巧みに演奏し、現代の作曲家からの新作を積極的に紹介する姿勢も見逃せません。

定期演奏会と特別イベント

OEKは、チェンバロのフィルハーモニー・シリーズを通して、年間8回の定期演奏会を開催しています。さらに、著名な客演奏者を招く「マイスター・シリーズ」や、ジャズやポップスなどを含む「ファンタスティック・オーケストラコンサート」を行い、広く親しまれています。加えて、毎年9月には故・岩城宏之のメモリアルコンサートも定期的に行われ、師の功績を称えています。

地域貢献と全国展開

OEKは定期演奏会の他にも、東京、名古屋、大阪など主要都市での公演や、地元のアウトリーチプログラムにも力を入れています。このような積極的な活動により、地域文化の振興に考慮した音楽活動を展開し、多くのファンを獲得しています。

音楽監督とアーティスト

オーケストラの音楽的リーダーシップには、広上淳一に加え、川瀬賢太郎（パーマネント・コンダクター）、松井慶太（コンダクター）、井上道義、マルク・ミンコフスキ（桂冠指揮者）がいるなど、充実した指揮陣が揃っています。これにより、安定した音楽の質が保たれています。

録音と記録

OEKは多くの録音成果を残しており、特に井上道義によるモーツァルトやベートーヴェンの作品が評価されています。これらの録音は、オーケストラの音楽スタイルや演奏の質を広く知らせる重要な役割を果たしています。

オーケストラ・アンサンブル金沢は、地域に深く根付いた音楽文化の発展に寄与しつつ、幅広いレパートリーと高い演奏技術で多くの聴衆を魅了し続けています。

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