カクル

カクル - オパール化した謎の小型恐竜 -

カクル(Kakuru)は、はるか昔、白亜紀前期のオーストラリア大陸に生息していた肉食恐竜です。推定全長は約2メートルと、恐竜としては比較的小柄な部類に属します。この恐竜が他の恐竜とは一線を画す存在として知られるようになったのは、その化石がオパール化しているという、非常に珍しい特徴によるものです。

カクルの化石は、1980年に南オーストラリア州のアンダムカという場所で、Ralph MolnarとPledgeによって発見されました。発見されたのは脛骨(けいこつ)―脚の骨の一部―のみでしたが、この脛骨が美しいオパールに変化しているという事実は、古生物学の世界に大きな衝撃を与えました。オパール化した恐竜の化石は極めて稀であり、カクルはその希少性から、発見当初から大きな注目を集めることとなりました。

発見後、長らく個人コレクターの手によって所有されていましたが、2004年、南オーストラリア州アデレードにある南オーストラリア州立博物館（サウス・オーストラリアン・ミュージアム）が買い取り、現在では一般公開されています。研究者たちは、この貴重な標本を通じて、カクルの生態や進化、そしてオーストラリア大陸の古代環境について、より深く理解しようと研究を続けています。

カクルの脛骨は、その形態から、オヴィラプトル類という恐竜のグループとの類似性が指摘されています。オヴィラプトル類は、鳥のような特徴を持つ獣脚類恐竜で、主にアジアに生息していたことが知られています。オーストラリアで発見されたカクルの化石が、オヴィラプトル類と近縁である可能性を示唆しており、恐竜の進化と大陸間移動に関する新たな知見をもたらすかもしれません。しかしながら、現時点では発見されている化石が脛骨のみであるため、カクルの全貌解明にはさらなる研究と、新たな化石発見が不可欠です。

ちなみに、オーストラリアで発売されているチョコレートのおもちゃ「ヤウイ（Yowies）」の古生物シリーズ「ロストキングダム」には、カクルをモチーフにしたチョコエッグが登場しています。これは、カクルの知名度を広く一般に知らしめる上で、大きな役割を果たしていると言えるでしょう。オパール化した化石という魅力的な特徴と、謎多き生態を持つカクルは、今後も多くの古生物学者や恐竜ファンを魅了し続けることでしょう。今後の研究の進展に期待が高まります。

もう一度検索