カシミア

カシミアとは

カシミア（英: cashmere）は、カシミアヤギ（カシミアゴート）から採取される動物繊維で、日本ではカシミヤと呼ばれています。この素材名は、インド北部の高地に位置するカシミール地方の名前に由来しており、シルクロードを経て歴史的にローマへと運ばれたと言われています。

特徴

カシミアヤギの特徴として、1頭から得られる産毛の量が少ないことが挙げられます。とはいえ、その手触りや軽さ、保温性は特筆すべき点があり、そのため「繊維の宝石」と称されています。カシミアの原毛は、色によって主にホワイト、ライトグレー、ブラウン、ライトフォーンに分類されます。物理的には、羊毛と比べて強度はほぼ同じですが、伸縮性ははるかに優れています。また化学的には、繊維が細かく、湿気をよく吸収するという性質を持っています。

品質の評価基準には、毛の細さ、白さ、長さがあり、細ければ細いほどしなやかで光沢感も増し、肌触りが柔らかくなる傾向があります。白色が優れていれば漂白作業の必要がなく、優れた染色が可能になります。毛の長さも重要で、長い毛は紡績時に繊維がほどけにくく、毛玉になるのを防ぐ効果があります。

生産

カシミアヤギは、全身が剛毛に覆われており、その内側に柔らかいウールがあります。ウールは毎年5月から6月の間に、熊手状の器具で採取されますが、この時期が遅れると品質や収量が低下します。1頭から得られる繊維は150gから250g程度で、1着のセーターを作成するためにはおよそ4頭分の毛が必要です。カシミアヤギが主に生息する地域は中国、モンゴル、イランなどの山岳地帯です。

中国は未精製のカシミア繊維の最大の生産国であり、年間生産量は推定約10,000トンです。モンゴルや他の中央アジア諸国も生産に寄与しており、世界のカシミア総採取量は年間15,000トンから20,000トンとされています。これらの国々ではカシミアが重大な輸出品となっており、経済にとって重要な役割を果たしています。

抽出されたカシミアは、油脂やほこり、剛毛を取り除く工程を経て、製品として利用可能になります。カシミアの生産量は約6,500トンに及ぶとされますが、高級素材であるため偽装問題が存在し、実際の流通量は生産量の4倍とも言われています。そのため、2019年にはテラヘルツ波によってカシミアの純度を迅速に識別する技術が開発され、偽装品の排除に貢献することが期待されています。

用途

カシミアはその高い品質から様々な製品に利用されています。染色と糸に加工することで、セーター、マフラー、手袋、帽子、コート、ジャケットなど多数のアイテムに変身します。しかし、その高価さから、他の素材と混合して使用されることも一般的です。

まとめ

カシミアはその柔らかさと暖かさから多くの人に愛される素材であり、特に寒い季節にはその価値が際立ちます。その美しい見た目と着心地の良さに加え、希少性からも高級品とされています。

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