カメムシ

カメムシ（椿象）

カメムシは、半翅目に属する昆虫の総称で、地上に生息する多様な種が存在します。日本国内には1300種以上が確認されていますが、標準的な「カメムシ」とされる名称を持つ種は存在しません。特に、カメムシはその悪臭で知られ、和名「クサムシ」や地方名では「ヘッピリ」や「ジャコ」など、地域によってさまざまな呼び名があります。英語では "stink bug"（臭い虫）と呼ばれ、その名前も臭いの特性によるものです。

一般的特徴

カメムシには多くの科があり、一般的に指すのは主にカメムシ科のものです。特徴的なのは、頭が三角形で、脚は三対存在し、口器はストローのような形状をしています。体全体は五角形に近い形をしており、翅で覆われています。カメムシの生態は多様で、寿命は約1年から1年半。産卵は梅雨時に行われ、卵は円筒形で、通常は数十個がひと塊で産みつけられます。幼虫は成虫に似た形状をしていますが、模様が異なっており、不完全変態を経て成長します。

臭い

カメムシは敵からの攻撃や外部からの刺激を受けると、防御のために臭腺から悪臭を伴う液体を分泌します。この液体はアルデヒドやエステルなどを含み、その主成分はヘキサナールやトランス-2-ヘキセナールです。カメムシが群れで生活している場合、一匹が臭いを発すると、その周りのカメムシも一斉に逃げ出すことがあります。これは仲間に対する警報の役割を果たしています。

ただし、すべてのカメムシが強烈な臭いを出すわけではなく、キンカメムシ科の昆虫は比較的臭いを発しにくいため、美しい体色で警戒色を示す場合が多いです。また、一部のカメムシは特有の爽やかな香りを放つこともあります。

食性

カメムシは多くが植食性であり、葉や果実などから植物の液を吸って生活しています。多くは山林でスギやヒノキ、桜の実などを好んで食べますが、中には肉食性のものも存在します。特にクチブトカメムシはイモムシなどを捕食するため、雑食性が見られます。卵を産んだ後、親が守る行動を示す種もあり、また幼虫が集団で生活することも観察されています。カメムシは好む光によって行動が影響され、正の走光性を示します。

人間とのかかわり

一部のカメムシは農作物に大きな被害を及ぼす害虫として知られています。主な害虫となる種にはアオクサカメムシやクロカメムシなどがあり、これらは稲や果樹に大きな影響を与えます。農業においては殺虫剤の利用や雑草除去が防除対策として行われます。

また、クサギカメムシのように強力な臭気を放つ種は、室内で大量に発生することで健康に影響を及ぼすこともあるため、注意が必要です。さらに、カメムシは外来種として他の国において農業に悪影響を及ぼすことも懸念されています。

大量発生

カメムシの大量発生は、餌の豊作や暖冬が理由として挙げられます。特にスギやヒノキの実が豊作となると大量発生しやすい傾向があります。

方言

カメムシに関する呼び名は地域によって異なり、多彩です。具体的には、青森県での「クセンコ」、秋田県南部での「ヘメコムシ」、山形県での「ヘクサンボ」などがあります。これらの俗称は、カメムシが地域に根付いた存在であることを示しています。

利用

カメムシ類は美しい形を持つことから、一部の昆虫採集家には人気があります。また、食用のカメムシもあり、特にアフリカやラオスなどで調理されて利用されています。日本でも外国産のカメムシが観賞対象となることがあります。カメムシはその特有の生態から、様々な視点での関心を集め続けています。

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