カメラを止めるな!

映画『カメラを止めるな！』の概要

『カメラを止めるな！』（カメ止め）は、2017年に公開された日本のインディーズ映画で、監督は上田慎一郎が務めました。この映画は、バラエティ番組のプロデュースで知られるENBUゼミナールのシネマプロジェクト第7弾として製作され、全編96分の長さを持っています。海外タイトルは『One Cut of the Dead』で、上映時のキャッチフレーズには「最後まで席を立つな。この映画は二度はじまる。」という印象的な言葉が使われました。

製作費は300万円という低予算ながら、SNSを通じて口コミが広まり、全国的なヒットを記録しました。結果として、2018年には邦画興行収入ランキングで7位（31.2億円）に輝き、多くの映画賞を受賞しました。さらに、フランスでは同作のリメイクが製作され、日本では2022年に公開されました。

物語の構成

『カメラを止めるな！』は、独特の構成で作られています。前半の37分はB級ホラー風のゾンビ映画の撮影中の様子を描き、後半の60分では、その映画制作に携わる人々のリアルな日常をコメディタッチで描いています。この映画は、前半がゾンビ映画で、後半はその制作過程を描く形になっており、観客は前半の内容を見た後に、実はそれがフィクションであることを知らされます。

企画の発想は、監督の上田慎一郎がある小演劇を観たことから生まれました。キャストはワークショップを通じて集まり、設定を当て書きの形式で制作が進められました。特に前半の一発撮りのシーンでは、架空のトラブルと本当のトラブルを交錯させた演出がなされ、見る者に緊張感を与えます。実際に重要なシーンを撮影したのは、水戸市の芦山浄水場で、6日間にわたって行われました。

公開と評価

2017年の11月に新宿でイベント向けに6日間の上映が行われ、その後、2018年の6月から全国で本格的に上映が開始されました。SNSの盛況な反響を受けて、当初はENBUゼミナールが配給していましたが、アスミック・エースとの共同配給が開始され、徐々に上映館数が増え、最終的には353館で222万人を動員しました。

公開当初から観客の熱狂が続き、映画の内容や演出について多くの好評が寄せられました。特に映画評論家や観客からは高評価を受け、「三谷幸喜を上回る」と評されたこともあります。また、2018年には新語・流行語大賞の候補として「カメ止め」が選ばれ、年末のNHK紅白歌合戦では本作を意識したパフォーマンスも行われました。

あらすじ

物語は、郊外の廃墟でのゾンビ映画の撮影開始から始まります。監督は、ヒロイン役の女優が演じる演技に不満を持ち、本物の恐怖を引き出そうとします。しかし、撮影中に起こるトラブルやゾンビの襲撃によって、リアリティのある事態が展開されます。その後、監督が指示を出し続ける中、役者やスタッフは予測不能な事態に立ち向かっていく様子が描かれます。

一方、作品制作の舞台裏も描かれ、監督の日暮隆之と彼の家族の関係や、現場での彼らの試行錯誤が後半で詳しく描かれます。クライマックスは屋上での撮影シーンで、予想外のトラブルが連発しながらも、家族が力を結集して乗り越える姿が描かれています。

作品の持つ魅力

『カメラを止めるな！』は、ただのゾンビ映画としてだけでなく、映画制作そのものを描いた斬新な作品として、多くの観客を魅了しました。映画の構成、キャラクターの演技、そして感情の流れは観客に強い印象を与え、見る者に笑いと感動をもたらします。この作品は、今後の映像作品制作においても、独自のスタイルとして受け継がれていくでしょう。

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