ガスタービン動車

ガスタービン動車（ガスタービンどうしゃ）

ガスタービン動車とは、ガスタービンエンジンを動力源として走行する鉄道車両のことを指します。この技術は、1960年代から1970年代にかけて、特に非電化区間において列車の速度を上げる手段として注目を集めました。しかし、オイルショックの影響や燃費・騒音といった課題から、その普及は思うようには進みませんでした。

歴史と背景

ガスタービン動車の開発は、多くの国で行われ、特にアメリカやフランス、カナダでは実際の運行が行われました。例えば、アメリカでは1966年にユナイテッド・エアクラフト社によるUACターボトレインが登場し、長期試験の後、1968年からアメリカのニューヘブン鉄道で運行が始まりました。また、1973年からはカナダ国鉄で特急「TURBO」として多くの利用者に親しまれました。しかし、オイルショックの影響により、これらの動車は次第に運行を休止せざるを得なくなりました。

日本でも、国鉄が開発したキハ07形改造車や、その結果を基にしたキハ391系が試験されましたが、残念ながら実用化には至りませんでした。これらの車両は、非電化区間のスピードアップを目指して開発されたものの、オイルショックによるコスト上昇の影響を受け、量産化が断念されたのです。

技術的課題

ガスタービンエンジンを鉄道車両に搭載する際には、いくつかの技術的な課題がありました。特に、低負荷時の燃費効率が悪化しがちで、また騒音の発生も問題となりました。燃料の特性から、使用する燃料が低オクタン価でも問題がない一方で、燃費や負荷の追従性において劣ることが指摘されてきました。これに対処するための技術開発は未だ続けられています。

現在の取り組み

ガスタービン動車の実用化に失敗した理由の一因には、当時の技術の未熟さが挙げられますが、近年では発電機や電動機の小型化が進んでおり、再度ガスタービンエンジンを活用するチャンスがありそうです。現在、特にアメリカ合衆国では、ハイブリッド仕様のターボトレインの研究が進められています。このプロジェクトでは、回生制御の要となるフライホイールの開発がカギとなっており、成功すれば非電化条件下でも高効率な鉄道運行が可能になると期待されています。

利点・欠点

利点

• - 小型で高出力を発揮
• - 低オクタン価燃料にも対応可
• - 多様な燃料に対応できる
• - 環境への負荷が比較的少ない

欠点

• - 燃費が劣る
• - 負荷の変化に対する追従性が不十分
• - 騒音問題がある

主な車両例

ガスタービン動車としては、イギリスのAPT-E、フランスのTGV001やターボトレイン、西ドイツのDB 602、アメリカのM-497、さらにはカナダのUACターボトレインなどが知られています。また、エジプトでは1983年からカイロとアレクサンドリアを結ぶ特急列車にガスタービン動車が使用されているなど、各国で様々な形での運用が見られます。

ガスタービン動車の技術は、常に改良が重ねられ、また新たな挑戦が続けられています。未来の鉄道技術の発展において、重要な役割を果たす可能性を秘めているのです。

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