ガルバリウム

ガルバリウム鋼板（Galvalume）について

ガルバリウム鋼板とは、1972年にアメリカのベスレヘム・スチール社によって開発された、アルミニウムと亜鉛の合金めっき鋼板です。在来の亜鉛めっき鋼板に対して優れた防食性と熱反射性を持っており、日本ではしばしば「ガルバ」と略称されています。さらに、ガリバリウムやガルバニウムと呼ばれることもあります。日本工業規格（JIS）によると、ガルバリウム鋼板はJIS G3321に基づいて規定されています。

防食性と特性

この鋼板の防食性は、亜鉛のイオン化傾向が鉄よりも高いことに由来しています。水分のある環境下では、亜鉛が先に溶け出し、鉄を守る「犠牲防食」の効果を発揮します。ガルバリウム鋼板では、アルミニウム（55%）、亜鉛（43.4%）、および珪素（1.6%）の合金が用いられ、表面には強固な不動態皮膜が形成されます。この皮膜が鋼板を保護することで、全体として優れた防食性を持つことが多球です。

また、ガルバリウム鋼板の表面には、特有のスパングル模様が現れ、この外見が独特の光沢を演出しています。このため、熱反射性能は70%-75%と非常に高く、従来の亜鉛めっき鋼板の30%-40%と比べても明らかに優れています。合金の融点は約570℃で、亜鉛の420℃よりも高いため、熱に対する耐性もあります。

用途

ガルバリウム鋼板はその特性から、建物の外壁や屋根材、雨樋やベランダ周辺などのさまざまな建築用途に利用されています。最近のステンレス鋼の価格上昇を受け、コストパフォーマンスの観点からガルバリウムへ材料を変更する動きが見られますが、ステンレスよりも防食性能が劣ることを考慮しつつ、慎重に選定することが求められます。また、工業や電気機器関連の素材としても、その熱反射性が評価されています。さらに、屋外使用に耐える塗装鋼板の基材としても広く採用され、塗装を加えることでさらなる防食性能や機能性を向上させています。

特筆すべきは国内の公共施設にもその活用が見られ、例えば2009年に改修された阪神甲子園球場の銀傘もガルバリウム鋼板で作られています。

製造・流通

ガルバリウム鋼板は、普通鋼の冷延鋼帯に溶融めっきを施すことで製造されますが、製造プロセスは従来の亜鉛めっき鋼板とほぼ同じ流れで行われます。高炉メーカーだけではなく、めっき専業メーカーのシェアも増えています。販売は一般的に鋼材業者を通じて行われ、標準サイズに切断されて流通することが一般的です。購入時には、母材の厚さやめっきの目付量を指定する必要があります。目付量が多いほど、耐食性が向上します。

使用上の注意

加工性は従来の亜鉛めっき鋼板に比べやや劣るため、加工時には条件設定を厳格に行う必要があります。また、施工に際しては、モルタルやコンクリートなどのアルカリ性素材と接触しないよう注意が必要です。特に浸水や結露が頻繁に起こる場所では、迅速に錆が進行する可能性があり、メーカー保証の対象外となるため、注意が求められます。さらに、使用するコーキング剤は非酢酸タイプが推奨されており、適切な製品選定が重要です。

エスジーエル（SGL）

エスジーエルは、ガルバリウム鋼板の技術を進化させた、2%のマグネシウムを添加したアルミ・亜鉛合金めっき鋼板です。日鉄鋼板が2013年に開発したもので、従来のガルバリウムに比べ、犠牲防食作用や自己修復作用による耐食性が3倍以上向上しています。屋根材としても多くのメーカーに採用されています。

このように、ガルバリウム鋼板はその優れた防食性と熱反射性から、さまざまな分野での利用が進んでおり、今後もさらなる発展が期待されます。

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