キネティック

株式会社キネティック：日本映画界に貢献した配給・製作会社

株式会社キネティック(KINETIQUE)は、1995年11月30日に設立された日本の映画配給・製作会社でした。個性的な作品群の配給で知られ、ミニシアター系映画の興行において大きな足跡を残しました。2007年4月、キュービカルエンタテインメントとの合併を経てCKエンタテインメントとなり、その後、現在のカルチュア・パブリッシャーズへと統合されました。

キネティックは、設立から合併までの間に30本以上の映画配給を手掛けました。その中にはリバイバル上映作品も多く含まれており、フランス映画やアメリカインディペンデント映画といった幅広い作品群を日本市場に紹介しました。

特に、クレール・ドゥニ監督作品との関わりは深く、3作品もの配給実績があります。また、ヴィンセント・ギャロ監督作品にも積極的に取り組みました。ギャロ監督デビュー作『バッファロー'66』は、渋谷シネクイントでの34週間というロングラン上映を記録し、2億円を超える興行収入を達成。ミニシアター系映画における異例のヒット作となり、キネティックの配給力とセンスを証明する出来事となりました。

配給にとどまらず、製作にも携わった作品もあります。例えば、ギャロ監督の第2作『ブラウン・バニー』や、ドゥニ監督・ギャロ主演の『ガーゴイル』など、個性豊かな作品群の製作に携わったことがわかります。

キネティックという社名は、「KINE（＝動き）」を語源とし、動的な会社を目指したという意図が込められています。その理念は、多様なジャンルの作品を積極的に取り扱う姿勢に表れていると言えるでしょう。

配給作品の上映前には、キネティックのロゴ映像が流されました。このロゴ映像には、同社が初めて製作に関わったアニメーション映画『TAMALA 2010 a punk cat in space』の主人公であるタマラが使われていたことも特筆すべき点です。

映画以外にも、COMEDIQUEというレーベルを設立し、イギリスのコメディ番組『リトル・ブリテン』『ハイっ、こちらIT課！』『マイティ・ブーシュ』などのテレビコンテンツの配給も行っていました。

キネティックが配給した主な作品としては、ロマン・ポランスキー監督作品のリバイバル上映（『Roman Polanski 狂気、ブロンド、ナイフ。』、『REPULSION－反撥』、『袋小路』、『水の中のナイフ』）や、ジョナサン・デミ監督の『ストップ・メイキング・センス』などがあります。これらの作品は、キネティックの配給活動を通じて、日本の映画ファンに広く知られるようになりました。

キネティックは、短期間ながら、日本映画界に多大な貢献を果たしたと言えるでしょう。その活動は、ミニシアター系映画の活性化に大きく貢献し、多くの作品を日本の観客に届ける役割を果たしました。現在はカルチュア・パブリッシャーズに統合されていますが、キネティックの活動は、日本の映画史において重要な一ページを刻んでいます。

もう一度検索