クライング

『クライング』（Crying）

『クライング』は、1961年に発表されたロイ・オービソンによる感動的な楽曲です。この曲は、オービソン自身の恋愛体験からインスパイアを受け、成就しなかった愛の想いをテーマにしています。「男だって泣きたい時がある」という力強いメッセージが込められたこのバラードは、聴く人々の心に深く響きます。なお、この曲は全米で第2位を記録しましたが、レイ・チャールズの「旅立てジャック」という曲に押し出されて1位の座は逃しました。その後も知られざるヒットを及ぼしました。

オービソンは、前作の「Running Scared」がバラードであったため、続く作品として「クライング」もバラードを選ぶことに対して少なからず躊躇いがあったと言います。それにもかかわらず、この曲は予想以上の反響を呼び、アメリカの音楽シーンに大きな影響を与えました。特に、1987年にはk.d.ラングとのデュエット版が登場し、ACチャートで第28位を記録しました。また、1981年にはドン・マクリーンによるカバーがイギリスで大ヒットし、1位を獲得しています。このヒットは、1978年のアルバム『Chain Lightning』に収録されていたもので、「アメリカン・パイ」以来の成功とされています。

カバー・バージョン

『クライング』は、オービソン以外にも多くのアーティストによってカバーされてきました。 1962年にはボビー・ヴィントンが、1964年にはレターメンとデル・シャノンがそれぞれアルバムに収録しました。また、フロイド・クレイマーも1966年にこの曲を取り上げており、ジェイとアメリカンズは1967年にシングルとしてリリースしました。このシングルはアメリカの音楽チャートで第25位に達しました。さらに、同年にはグレン・キャンベル、1968年にはリン・アンダーソンもこの曲を収録しています。1975年にはB・J・トーマスによるカバーも存在します。

特に注目すべきは、1999年にリリースされたTVシリーズ『アリー my Love』のサウンドトラックに収録されたヴォンダ・シェパードによるバージョンです。これにより、新たな世代のファンにも『クライング』が再び認識されることとなりました。

このように、ロイ・オービソンの『クライング』は、数々のアーティストに影響を与え続け、様々な形で生き残る名曲です。彼の切ない歌声と深い感情表現は、聴く人々に強い印象を残しています。音楽史に名を刻むこのバラードは、今後も多くの人々に愛されることでしょう。

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