クリスマスにはシャケを食え

『クリスマスにはシャケを食え』とは

『クリスマスにはシャケを食え』とは、特撮テレビドラマ『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』に登場するキャラクター、サモーン・シャケキスタンチンのセリフから派生した、日本のインターネットミームです。このフレーズは、クリスマスにチキンではなく鮭を食べるという、ユニークな発想を広めるきっかけとなりました。

発端：特撮ドラマの異質なキャラクター

2018年放送の『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』第45話「クリスマスを楽しみに」に登場したサモーン・シャケキスタンチンは、鮭の怪人として、クリスマスに用意されたチキンを鮭の切り身に変えて街を混乱させました。このエピソードは、物語の終盤で「フランスにはクリスマスに鮭を食べる風習がある」という言及がされていますが、怪人の行動とは直接関係はありません。

ミームの広がりと影響

この特異なエピソードは、2019年以降、スーパー戦隊シリーズや仮面ライダーシリーズで、イースターエッグのように鮭が登場するなどの形で、その存在感を示し始めます。

2020年には、テレ朝チャンネルが「スーパー戦隊クリスマス大鮭戦」という特番を放送し、サモーン・シャケキスタンチンをナビゲーターに起用しました。これにより、このミームはさらに広まりを見せます。

企業や政府機関の動き

2019年には、大手スーパーのイオングループが「メリクリサーモン」というクリスマスキャンペーンを展開しました。さらに、2020年には、農林水産省・水産庁がFacebookでクリスマス向けのサーモン料理を紹介し、農林水産省はTwitterで「サーモンでクリス鱒」というハッシュタグを用いて投稿しました。これらの動きは、SNSを中心に話題となり、クリスマスに鮭を食べるという習慣を広めようとする意図があると解釈されました。

2021年12月24日には、農林水産省がTwitterで「クリス鱒」とともにちゃんちゃん焼きを紹介し、「クリスマスにはシャケを食え」というハッシュタグを使用しました。この投稿は、SNS上で「クリスマスにはシャケを食えは農水省公認」「特撮は農林水産省まで動かした！」といった反響を呼びました。同日放送の『キユーピー3分クッキング』でスモークサーモンが紹介されたことも、関連性を指摘される要因となりました。

2022年12月8日には、ケンタッキーフライドチキン渋谷道玄坂店前で、動物愛護団体PETAがヴィーガンを訴えるデモ活動を行った際、「クリスマスにはシャケを食え」というハッシュタグが引き合いに出されました。

2023年3月7日には、農林水産省がTwitterでサモーンの画像を添付して「魚の日」をアピールし、同日、水産庁が農林水産省公式YouTubeチャンネルでサモーンへの謝礼動画を公開しました。

2023年12月23日には、農林水産省がX（旧Twitter）で「クリスマスにはシャケを食え」と「シャケざんまい」のハッシュタグを用いて投稿を行いました。このように、このミームは単なるネット上の流行にとどまらず、様々な企業や政府機関を巻き込み、社会現象へと発展しています。

文化的な背景と関連性

『クリスマスにはシャケを食え』というミームの背後には、キリスト教の食文化やヨーロッパの伝統的なクリスマス料理との関連性が見られます。

キリスト教の小斎：キリスト教の古い宗派では、金曜日やクリスマスなどの「小斎」に魚を食べるという戒律があります。これは、肉食を控えることで精神的な浄化を促すためです。
ヨーロッパのクリスマス料理：ヨーロッパには、クリスマスイブに魚を中心とした料理を食べる習慣があります。例えば、「12皿のクリスマスイブの夕食」では、肉や卵、乳製品を避けた魚料理が供されます。また、イタリアでは「7種の魚介のごちそう」を食べる習慣があります。これらの食文化は、クリスマスに魚を食べるという考え方の基盤となっています。

まとめ

『クリスマスにはシャケを食え』は、特撮ドラマのユニークなキャラクターから生まれたネットミームでありながら、企業や政府機関を巻き込み、社会現象にまで発展しました。この現象は、日本のインターネット文化の面白さを示すとともに、食文化や伝統に対する新たな視点を提供しています。

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