クリス・ブロデリック

クリス・ブロデリック：卓越した技巧派ギタリストの軌跡

クリス・ブロデリック（Christopher Alan Broderick）は、1970年3月6日生まれのアメリカ合衆国出身のギタリストです。パワーメタルバンド、ジャグ・パンツァーやスラッシュメタルバンド、メガデスでの活動で知られ、現在はアクト・オヴ・デファイアンス、イン・フレイムスでその才能を発揮しています。

若き日の鍛錬と音楽的ルーツ

コロラド州デンバーで育ったクリスは、11歳からギターを始め、一日14時間も練習に打ち込む日々を送りました。ギターだけでなく、ヴァイオリンやピアノにも熱心に取り組み、その結果、地元では名の知れたギタリストとして知られるようになります。デンバー大学ではクラシックギターの学位を取得し、パコ・デ・ルシアに影響を受けフラメンコギターも習得するなど、幅広い音楽性を育みました。

ジャグ・パンツァー時代

1997年、クリスはアメリカのヘヴィメタルバンド、ジャグ・パンツァーに加入します。前任ギタリストの脱退後、バンドは後任探しに難航しましたが、クリスの高度なテクニックと音楽理論に裏打ちされた演奏が評価され、加入に至りました。ジャグ・パンツァーでは4枚のアルバムに参加し、11年間在籍しました。

メガデスへの加入と脱退

2008年、クリスはスラッシュメタルバンドの雄、メガデスに加入します。前ギタリストの脱退後、ドラムのショーン・ドローヴァ―がデイヴ・ムステインにクリスの演奏映像を見せたところ、ムステインはクリスの才能に衝撃を受け、即座に加入を決定したと言われています。ムステインは「クリスを見つけた時は、まるでオジー・オズボーンがランディ・ローズを見つけたと同じくらいの衝撃だった」と語り、クリスを「歴代のメガデスのギタリストでもっとも素晴らしいギタリスト」と称賛しました。クリスは2009年のアルバム『Endgame』から音源に参加しましたが、2014年11月に音楽性の違いからメガデスを脱退しました。

アクト・オヴ・デファイアンス結成とイン・フレイムス加入

メガデス脱退後、クリスは同じくメガデスを脱退したショーン・ドローヴァーと共にアクト・オヴ・デファイアンスを結成し、精力的に活動を展開しています。2019年からはイン・フレイムスのライヴサポートとして参加し、その後正式メンバーとしてクレジットされるようになりました。

使用機材とプレイスタイル

クリスは、かつてアイバニーズとエンドース契約を結んでいましたが、2011年からはジャクソンと契約しています。「Chris Broderick Signature Soloist」は、彼自身がデザインを手掛けた独自のボディ形状が特徴で、6弦と7弦がラインナップされています。普段は7弦ギターをメインに使用していますが、メガデスでは6弦ギターをメインに使用していました。アンプはENGLとエンドース契約していましたが、メガデス加入の際にデイヴ・ムステインの意向でマーシャルを使用することになりました。

クリスのプレイスタイルで特筆すべきは、親指にピックをはめる「サムピック」の使用です。これにより、彼が得意とするエイトフィンガー・タッピングを演奏する際、ピッキングからタッピングへの移行がスムーズに行えます。現在はギターパーツメーカーと共同開発した「ピック・クリップ」を使用し、フラットピックを簡単にサムピックに変えられるようにしています。

バンド遍歴とディスコグラフィ

ジャグ・パンツァー (1997–2008)
ネヴァーモア (2001–2003, 2006–2007) (サポートメンバー)
メガデス (2008–2014)
アクト・オヴ・デファイアンス (2014 - 現在)
イン・フレイムス (2019-2020（サポートメンバー）、2020 - 現在)

ディスコグラフィ

ジャグ・パンツァー
The Age of Mastery (1998)
Thane to the Throne (2000)
Mechanized Warfare (2001)
The Era of Kings and Conflict (2002)
Casting the Stones (2004)
メガデス
Endgame (2009)
Rust in Peace Live (2010)
The Big 4 Live from Sofia, Bulgaria (2010)
Thirteen (2011)
Super Collider (2013)
Countdown to Extinction: Live (2013)
アクト・オヴ・デファイアンス
Birth and the Burial (2015)
ネヴァーモア
The Year of the Voyager (2008)

クリス・ブロデリックは、その卓越した技術と幅広い音楽性で、これからも多くのファンを魅了し続けるでしょう。

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