クロシジミ

クロシジミ（黒小灰蝶）

クロシジミ（学名: Niphanda fusca）は、チョウの中でもシジミチョウ科に属する美しい種類です。これらのチョウは主に日本に生息し、特に本州、九州、対馬などで見られます。体長は前翅の長さで17〜23mm程度で、翅の表面は一様に黒色に見え、外縁には白い線が見られます。一方で、翅の裏側は明るい灰色で、そこには大きな濃灰色の斑点がしっかりと現れています。

生息環境

クロシジミは他のヒメシジミの仲間とは異なり、草原や市街地ではなく、人の手が入った二次林の中に生息しています。この選好する環境は、彼らの生態や生活習慣とも関わっています。クロシジミは健全な森林環境を好み、適切な条件下でのみ見られるため、分布は極めて局所的です。

発生時期

成虫は年に一度、主に6月から8月にかけて発生しますが、その姿を見ることができる時期は比較的短期間です。この時期に成虫は出現し、繁殖行動を行います。

幼虫の育成

興味深いのは、幼虫の育成過程です。若い幼虫の間はアブラムシの分泌物を基に栄養を摂取しますが、成長が進むと、クロオオアリの巣の中で育てられることに特化しています。幼虫はアリによって保護されながら成長し、翌年の6月から7月の間に蛹になります。これにより、彼らの発生周期は一年を通じて変動しやすいのです。また、越冬する際の姿は幼虫であり、成長の段階は一定ではありません。

分布と保全状況

クロシジミは中国や朝鮮半島にも分布していますが、日本では福島県以南から九州、対馬にかけて見られます。特に日本国内では、その生息地が限定されており、そのため保全状況は絶滅危惧IB類（EN）として環境省のレッドリストに認定されています。これはこのチョウの生息数が減少していることを示しており、保護の必要性が高まっています。

参考文献

• - 牧林功解説、青山潤三写真『日本の蝶』成美堂出版（1994年）
• - 日本環境動物昆虫学会編『チョウの調べ方』文教出版（1998年）

関連項目

• - シジミチョウ科
• - アブラムシ
• - クロオオアリ

このように、クロシジミは独特の生育環境とその育成メカニズムから、多くの研究者や自然愛好家の注目を集めています。その保全状況を考慮し、今後の調査や保護活動が重要とされています。

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