グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード

グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード（Goodwood Festival of Speed、通称FoS）は、イングランドのウェスト・サセックス州グッドウッドで毎年開催されるモータースポーツのイベントです。この祭典は、世界中から集まったレーシングカーや自転車、その他のモータースポーツに関連する乗り物が集い、数多くのモータースポーツ愛好者で賑わいます。特に日本の自動車メーカーも参加しており、多くの自動車専門誌にその様子が取り上げられています。

フェスティバルの概要

このイベントはリッチモンド公爵家が主催しており、彼らは南イングランドのチチェスター北部にある12,000エーカーに及ぶ私有地を所有しています。ここにはカントリー・ハウスやリゾート施設、ゴルフコース、競馬場、サーキット、さらには空港まで存在します。第11代リッチモンド公爵チャールズ・ゴードン＝レノックスは、祖父が建設したサーキットを復活させ、自身もレース愛好家としての情熱をもってこのイベントを企画しました。初回のフェスティバルは1993年6月に開催され、続く年からは開催日数が増加し、2012年には4日間に及ぶ大規模な催しとなりました。

入場と見どころ

入場料金は、22歳以上の成人の場合、4日間通しで約120ユーロです。メイン会場となる広場では、20世紀初頭のクラシックカーから最新のF1車両まで、多種多様なマシンが展示され、来場者はそれらを間近で観賞できる機会があります。さらに、専門書籍、パーツショップ、モデルカーショップの出店もあり、ビンテージカーのコンクールやオークションも行われます。

独自の文化が息づくこのイベントは「モータースポーツのガーデン・パーティー」と称されるほど、開放的で魅力的な雰囲気であり、年々その規模は拡大し続けています。初期には数万人の来場者数でしたが、2003年には約158,000人、2011年にはおよそ180,000人を記録するまでに成長しました。なお、フェスティバルから2ヵ月後には「グッドウッド・リバイバル」というイベントも開催され、こちらはヒストリックマシンのレースイベントです。

ヒルクライムレース

フェスティバルの中でも特に注目を集めるのは、ヒルクライムレースです。このレースでは、新旧の参加車両が順番にコースを走行します。タイムアタック方式ですが、特に優勝者を決めることはありません。全長1.16マイル（約1.867km）のコースは、カントリー・ハウス周辺の美しい庭園や牧草地を通るもので、高低差は57mです。コース脇には昔ながらの藁によるストローバリアが設置され、安全面にも配慮されています。

過去の記録では、1999年にニック・ハイドフェルドがベストタイムの41.6秒を記録しましたが、2019年にはロマン・デュマがその記録を更新し、39.90秒という驚異的なスピードを達成しました。さらに、安全面を考慮して現在F1マシンの公式計時参加は行われていないものの、他の多くの魅力的な車両が参加しています。

コースと参加者

最近では世界ラリー選手権（WRC）のワークスマシンのために特設ラリーステージも設置され、参加車両は年代やカテゴリーに応じてクラス分けがされています。往年の名ドライバーが過去の名車を運転する姿や、現役の若手ドライバーが古いマシンに挑戦する様子も見ることができ、観客はその迫力を楽しむことができます。

事故や安全への配慮

しかし、この華やかなイベントにも過去には事故が発生しました。2000年のヒルクライムで、ロータス・63がコントロールを失い衝突事故を引き起こし、悲惨な結果をもたらしました。このような過去の教訓を踏まえ、イベントは安全対策についても細心の注意を払っています。

毎年のテーマ

毎年、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードでは特定のテーマが設けられ、そのテーマに基づいて展示車両やゲストが招待されます。特定の自動車メーカーがイベントのホストを務め、メイン会場にはメーカーの実車を用いた特大オブジェも展示されます。これは会場を訪れる人々にとって特別な体験を提供する要素となっています。

このように、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードは、モータースポーツの愛好者や自動車文化を愛する人々にとって、毎年見逃せないイベントとなっています。

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