グレートジャーニー

グレートジャーニー

『グレートジャーニー』（THE GREAT JOURNEY）は、フジテレビ系列で不定期に放送された紀行ドキュメンタリー番組です。

本シリーズは、探検家である関野吉晴が、現生人類がアフリカを出て世界各地へ拡散していったとされるおよそ5万キロに及ぶ道のりを、南アメリカ最南端のチリにあるナバリノ島からアフリカ大陸のタンザニアまで、あえて逆方向に辿る壮大な旅を記録したものです。関野はこの長大な旅を、自動車などの近代的な動力に頼らず、自身の体力を駆使する自転車や徒歩、カヌー、さらには犬ぞりやラクダといった動物の力を借りて敢行しました。

旅は1993年12月に開始され、当初は2001年の元日、すなわち21世紀の幕開けと共に最終目的地に到達することを目標としていました。しかし、極東シベリア地域における移動の困難さ、特に夏季にツンドラが広大な湿地帯と化し、自転車での走行が不可能になるなど、予定外の時間を要しました。また、本来のルートから離れてヒマラヤ山脈を探訪するなどの「寄り道」も影響し、最終的なゴールは当初の計画より約1年1か月遅れとなる2002年2月となりました。この本編は全8回にわたって放送されました。

2004年からは、新たなテーマに基づいたシリーズとして『新グレートジャーニー 日本人の来た道』がスタートしました。このシリーズでは、「日本列島に人類がどのように到達したのか」という謎に迫るべく、北方、南方、海上といった複数のルートを辿る旅が描かれました。こちらは2006年から2012年にかけて全3回が放送されました。特に、最終回として予定されていた海上ルートの放送は2011年に行われる計画でしたが、同年に発生した東日本大震災による被災状況を鑑み、被災地の方々への配慮から放送が延期されました。その後、2012年に改めて放送されましたが、それまで金曜や土曜の夜9時から10時台という時間帯での放送だったものが、日曜日の夕方へと変更されるなど、規模を縮小しての放送となりました。

番組はその後、2012年5月からはBSフジにて順次再放送され、多くの視聴者が再びこの人類の旅を追体験する機会を得ました。

本シリーズの企画・出演は旅人の関野吉晴自身が務め、ナレーションは俳優の益岡徹が担当しました。その落ち着いた深みのある語りは、旅の映像に彩りを添えました。番組の演出には山田和也、一野雅義らが名を連ね、長期にわたる過酷な旅の様子を克明に記録する撮影は長谷川諭、辻中伸次らが行いました。音楽は川崎真弘が担当し、主題歌にはスティーヴィー・ワンダーの楽曲「CONVERSATION PEACE」が採用され、番組の世界観を印象づけました。

『グレートジャーニー』は、テレビ放送だけでなく、関連する様々なメディア展開も行われました。旅の記録を詳細に綴った書籍は多数出版され、特に小峰書店からは膨大な数のシリーズ本が出ています。また、VHSやDVDといった映像ソフトも多数リリースされており、本編の各エピソードや新シリーズ、あるいは特別編集版などを通じて、自宅で旅の追体験が可能です。さらに、2013年には国立科学博物館にて特別展「グレートジャーニー 人類の旅」が開催され、番組を通じて紹介された人類史的な移動の軌跡と、関野氏の旅が多くの来場者に紹介されました。

この番組は、単なる紀行番組にとどまらず、人類の歴史や多様な文化、そして困難に立ち向かう人間の意志について深く考えさせる作品として、多くの人々に影響を与えました。人類の足跡を辿る旅は、私たち自身のルーツを見つめ直す契機ともなりました。

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