ケンゾー

ケンゾー (KENZO)

ケンゾーは、著名なデザイナー高田賢三により設立されたファッションブランドで、パリのサントノレ通り北側に本店があります。1970年、彼はパリのギャルリ・ヴィヴィエンヌにブティック「ジャングル・ジャップ」をオープンし、初のコレクションを発表しました。この時、高田は日本の平面作図を取り入れた、色鮮やかな花柄の大胆な組合せや、ゆったりとしたシルエット、カジュアルなデザインを提案し、パリのファッションシーンに新たな風を吹き込みました。彼の作品はアジアのフォークロアからインスパイアされたものが多く、特に日本、中国、インドなどの要素を取り入れた独特の色彩感覚が特徴です。

1983年には、メンズライン「KENZO HOMME」を発表し、1986年からは「KENZO JUNGLE」や「KENZO JEANS」などの新しいラインも展開。さらに1987年には子供服「KENZO ENFANT」をスタートし、同年に香水「Kenzo de Kenzo」をリリースし、ケンゾーブランドの幅を広げていきました。1992年には、『KENZO MAISON』としてホームプロダクトが展開され、1993年にはモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン社の傘下に入ります。

ブランドの進化は続き、1999年には高田が自身の言葉で「新しいことをやりたい」と語り、ブランドを退きます。彼の後任として、ジル・ロズィエやロイ・クレイバーグなどの新しいクリエイティブ・ディレクターが就任し、新たなKENZOの展開がスタートしました。2004年からはアントニオ・マラスがレディスラインを手掛け、2012年には元オープニングセレモニーのデザイナーであるウンベルト・リオンとキャロル・リムがクリエイティブディレクターに就任。その後、2020年にはフェリペ・オリヴェイラ・バティスタ、そして2022年からはNIGOがクリエイティブディレクターを務めています。

ケンゾーのブランドコンセプトは、対極にあるもののコントラストからインスピレーションを受け、多様な素材、色、文化を融合させて独自の世界観を表現することにあります。ブランドアイデンティティには「色」、「旅」、「自然」の3つがあり、それぞれが持つキーワードでは、「色」からは温かさや装飾の楽しさが、「旅」からは開放感やエキゾチズム、そして「自然」に関しては安らぎや調和が引き出されています。これらの要素は、ケンゾーの得意とするコラージュ技法を用いて、親しみやすく遊び心あふれるデザインとして提案されています。

また、ケンゾーは異業種とのコラボレーションにも積極的です。例えば、ルノーとのコラボレーションによる特別仕様車「トゥインゴ」や、日本法人のプジョーとのファッションショーなどがあります。これらのコラボレーションは、ブランドの多様性と創造性をさらに広げる機会となっています。

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