コップのフチ子

「コップのフチ子」（英語表記: Fuchico）は、奇譚クラブが企画・販売するカプセルトイシリーズです。原案はタナカカツキ氏。OL風の女性「フチ子」が、コップの縁に腰かけたり、ぶら下がったりする独特のポーズをとるフィギュアです。「コップのフチに舞い降りた天使」というキャッチコピーの通り、コップなどの縁に飾ることで、その「たたずむ」姿を楽しむことができます。発売当初は、コップの縁に飾るだけの人形でしたが、そのユニークな特徴を活かした遊び方がSNSで広まり、大きな話題となりました。

歴史

開発と初期の成功

奇譚クラブから商品開発を依頼されたタナカカツキは、既存のカプセルトイが磁石やストラップなど「くっつく」要素が多い点に着目。喫茶店での飲食シーンに溶け込むようなフィギュアをコンセプトに開発を進めました。2012年7月に発売された第1弾は、発売から1週間で10万個を出荷し、すぐに完売。2013年6月に発売された第2弾と合わせ、同年7月までに300万個を売り上げました。

メディア展開

2013年6月には、雑貨展示会「東京ファッショングッズトレードショー」に出展。同月には、「コップのフチ子ポストカードブック」と「コップのフチ子Magazineプラス」の2冊の書籍が発売。これを記念し、池袋パルコで写真展も開催されました。また、同年7月からは、映画館でフチ子が登場するマナー啓発アニメーションが上映され、Twitterを活用した写真コンテストも開催されるなど、多岐にわたる展開を見せました。

その後の展開

2015年には、味の素のCMにフチ子のコスプレをした志田未来が出演。2016年には、SMAP×SMAPで草彅剛がフチ子に扮したコントを披露するなど、様々なメディアで取り上げられ、幅広い層に認知されるようになりました。

一時的な改名

2016年 9月10日には、「OL人形」に一時的に改名されました。これは、NHKの番組で「コップのフチ子」が「OL人形」として紹介されたことをきっかけに、原案者らが番組を見て初めて知った視聴者への配慮と、再放送時の話題作りを狙って行ったものです。この改名を記念してLINEスタンプも発売されましたが、再放送はされず、この改名企画は期待された効果を得ることはできませんでした。

フチ子というキャラクター

フチ子は、茶色の髪を後頭部で二つにまとめた女性として造形されていますが、彼女の素性やプロフィールは一切明らかにされていません。服装は、一般的なOLの制服を基本としていますが、一部私服やビキニ姿のものも存在し、服の色も青を基本に数種類あります。フチ子の最大の特徴は、腰かける、ぶら下がる、よじ登るなど、様々なポーズをとることができる点です。この特徴を活かし、コップの縁だけでなく、様々な場所に飾ることが可能で、その自由度の高さが人気の要因となっています。

評価と人気の理由

コップのフチ子は、コップの縁に飾るだけでなく、その特性を活かして、様々な場所で撮影された写真がSNSで共有され、人気を博しました。原案者のタナカカツキは、人気の理由として「原作や設定を持たない、外形だけの存在である点」を挙げています。ユーザーが感情移入できる余白が、現代のニーズに合っていると分析しています。また、日刊SPA!の記者は、安価ながら精巧な造形も人気の理由の一つとして挙げています。週刊アスキーの記者は、奇譚クラブの製品全般に共通する精巧さを評価しています。

書籍情報

- 『コップのフチ子ポストカードブック』（PARCO出版、2013年）ISBN 978-4-86506-016-4
- 『コップのフチ子Magazineプラス』（扶桑社、2013年）ISBN 978-4-594-60851-4
- 『みんなのフチ子さん』（ファミマ・ドット・コム、2014年）ISBN 978-4-907292-40-9

温泉のフチ子

2014年と2015年には、TOKYO MXで冠番組『温泉のフチ子』が放送されました。フチ子が関東地方とその近隣の温泉を紹介する内容で、実写版のフチ子役を有馬綾香が演じました。番組内では、視聴者からの写真投稿も紹介されました。番組のDVDも発売され、初回限定で「DVD限定シークレット温泉のフチ子」が同梱されました。

スタッフ

- 監修：タナカカツキ
- 撮影：宮澤正明
- 協力：奇譚クラブ、あすなろ舎、青二プロダクション
- 特別協力：リクルートライフスタイル（じゃらん）
- 制作：ディスクベリー・ドット・コム
- 製作著作：「温泉のフチ子」製作委員会

放送リスト

（一部抜粋）

- 伊香保[[温泉]]（群馬県）
- 草津温泉（群馬県）
- 湯河原温泉（神奈川県）
- 熱海温泉（静岡県）
- 箱根湯本温泉（神奈川県）
- 鬼怒川温泉（栃木県）
- 磐梯熱海温泉、二岐温泉（福島県）
- 藤沼温泉、岩瀬湯本温泉、磐梯熱海温泉（福島県）

カメラのフチ子

2014年 8月22日から2015年 9月30日まで、イマジニアからスマートフォン専用アプリ「カメラのフチ子」が配信されていました。このアプリは、写真の背景にあるフチを認識し、様々なポーズのフチ子を自動合成する機能を持っていました。ユーザーは、フチ子の顔を自分の顔やペットの顔に変換したり、写真にコメントを入れるなどの加工も可能でした。auスマートパス会員限定のアプリでした。

外部リンク

- 奇譚クラブ（公式ホームページ）
- TOKYO MX「温泉のフチ子」公式サイト
- ポニーキャニオン「温泉のフチ子」紹介ページ

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