コルタン

コルタン（Coltan）とは

コルタンは、コロンバイト-タンタライト（Columbite-Tantalite）の略で、特に含有する金属の特性に基づいて分けられる鉱石の一種です。この鉱石の中でニオブ（Nb）がタンタル（Ta）よりも多い場合はコルンブ石と呼ばれ、逆にタンタルが多い場合はタンタル石と呼ばれます。また、コルタンは斜方晶系に属し、その精錬過程を経て、粉末状のタンタルが得られます。

生産地

現代におけるコルタンの生産は主にオーストラリア、ブラジル、モザンビーク、カナダから行われていますが、これらの国における埋蔵量は十分に探査されているわけではありません。そのため、全体的な埋蔵量を評価することは難しいです。ある推測によると、コルタンの埋蔵量の約80%がコンゴ民主共和国に存在するとされています。

用途

タンタルは、特に携帯電話やノートパソコン、ゲーム機など、多様な電化製品のコンデンサーとして利用されており、これらの製品の普及に伴い、コルタンへの需要も急速に増加しています。タンタルの化学的特性は、電子機器において非常に重要な役割を果たしており、これによりコルタンの市場における価値が高まっています。

価格の動向

コルタンの価格は1970年代以降ほぼ安定していましたが、2000年から2001年にかけてのIT産業の急成長や需要の変化、または市場の投機によって価格が急騰しました。この期間中、価格は1ポンドあたり210ドルまで上昇し、その後、携帯電話市場の成長が一段落すると共に再び価格は通常の水準に戻りました。しかし、供給の安定性には懸念が残ります。

日本における現状

日本市場においては、2004年に354トン、2005年には331トンのコルタンが消費されました。主な輸入先はタイ、アメリカ、中国であり、特にアメリカは自国でのタンタル生産がほとんど行われていないため、アメリカからの輸入は実質的には他国からの転売にあたります。

コルタンを巡る問題

コルタンの採掘には多くの倫理的な問題が絡んでいます。特にコンゴ民主共和国の東部における違法採掘は大きな問題となっており、2001年に発表された国連の報告書では、コンゴ周辺地域の武装勢力がコルタンを不正に採掘し、その収益が紛争の資金源となっていると指摘されています。このため、コルタンの採掘地域は武装勢力に支配されやすく、またルワンダ企業がコルタンの輸出権を握るという状況も存在します。

さらに、コルタンの採掘方法は技術的に簡単な方法が多く、児童労働や環境破壊といった問題も抱えています。森林が乱伐され、絶滅危惧種であるゴリラや象が食用となる状況も報告されています。これらの問題を受けて、特定の企業は中部アフリカで産出されたコルタンの取り扱いを拒否する動きも見られます。

一方で、コルタンが地元経済の振興や再建の手助けになると考える企業も存在します。彼らは社会や環境に配慮した方法で採掘されたコルタンの市場形成を目指し、持続可能な取り組みを進めています。たゆまぬ努力によって、持続可能で倫理的なコルタン市場の実現が期待されています。

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