サブユニット

サブユニット：多量体タンパク質の構成要素

構造生物学において、サブユニットとは、単独では機能しないものの、他のタンパク質と結合して多量体タンパク質（オリゴマー）を形成する単一のタンパク質分子を指します。日本語では、亜単位、亜粒子などと訳されることもあります。

多量体タンパク質の多様性

自然界に存在する多くのタンパク質や酵素は、複数のサブユニットが結合した多量体構造をとっています。その代表例としては、酸素運搬を担うヘモグロビン、細胞膜を介したイオン輸送を行うイオンチャネル、DNA複製を担うDNAポリメラーゼ、染色体の基本構造であるヌクレオソーム、細胞骨格を形成する微小管などが挙げられます。

これらの多量体タンパク質を構成する各サブユニットは、以下のように様々な関係性を持つことがあります。

同一サブユニット: 全てのサブユニットが同じタンパク質分子である場合。
相同サブユニット: サブユニット間でアミノ酸配列の類似性がある場合。
異種サブユニット: 各サブユニットが異なるタンパク質分子であり、それぞれ異なる役割を担う場合。

調節サブユニットと触媒サブユニット

多量体タンパク質の中には、特定の機能を持つサブユニットが存在します。例えば、酵素の中には、反応を触媒する「触媒サブユニット」と、酵素活性を調節する「調節サブユニット」を持つものがあります。これらのサブユニットが結合して形成される酵素は、しばしばホロ酵素と呼ばれます。

サブユニットと遺伝子

一つのサブユニットは、一本のポリペプチド鎖から構成されています。そして、このポリペプチド鎖は、一本の遺伝子によってコードされています。つまり、あるタンパク質を構成する各サブユニットに対応する遺伝子が、必ず存在することになります。

サブユニットの命名規則

サブユニットの名称には、ギリシャ文字（α、β、γなど）やローマ字（A、B、Cなど）が用いられることが一般的です。また、各サブユニットの個数は、ギリシャ文字やローマ字に下付き文字を付加して表示されます。例えば、ATPシンターゼはαサブユニットを3つ持つため、「α3」と表記されます。さらに、サブユニットが複合体を形成している場合は、α3β3六量体のように、より詳細な構造を示すこともできます。

サブユニットの重要性

サブユニットの概念は、タンパク質の構造と機能に関する理解を深める上で非常に重要です。サブユニットがどのように結合し、どのような役割を果たすかを知ることで、タンパク質の動作メカニズムをより深く理解することができます。

関連用語

四次構造: タンパク質のサブユニットの空間的な配置。
アロステリック制御: サブユニット間の相互作用によるタンパク質の活性調節。
協同的結合: 複数のサブユニットを持つタンパク質における、リガンド結合の相互作用。

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