サンジェルマン伯爵

サンジェルマン伯爵：歴史の中の謎の存在

サンジェルマン伯爵（Comte de Saint-Germain）は、1691年または1707年に生まれ、1784年2月27日に亡くなったとされる18世紀のヨーロッパにおける注目すべき人物です。彼の生涯は謎に包まれており、出自や活動、そして数多くの伝説によって彼の存在は神秘的なものとして語り継がれています。

出自と教育

サンジェルマンは、スペイン王妃マリー＝アンヌ・ド・ヌブールと貴族メルガル伯爵との私生児だと考えられています。この出自が彼の後の裕福な生活や高い教養に大きく寄与したとされ、一流の音楽家であることや画家としての才覚もその証です。しかし、彼の前半生については多くの謎が残されており、1758年までその正体は不明でした。

音楽家から化学者へ

1746年までサンジェルマンはロンドンで作曲家兼ヴァイオリニストとして活動していましたが、1745年末に短期間の投獄を経て、ロンドンを離れることになりました。その後の12年間の足取りは不明で、彼がドイツで化学や錬金術の研究を行っていたのか、あるいはインドやチベットを旅していたのかは定かではありません。しかし、彼の東洋に関する知識は相当なものであったとされています。

フランス社交界への登場

1758年にパリに移り、王の営繕官であったマリニー侯爵に研究室の借用を申し込む際には、ルイ15世に「驚くべき発見」を約束する手紙を送っています。結果として、サンジェルマンはシャンボール城を与えられ、研究に没頭することができるようになりましたが、実際にはパリでの活動が多かったようです。

ルイ15世との関係と敵対

彼はルイ15世と深い親交を結びましたが、その後、ショワズール公爵によってスパイ容疑で告発され、結局フランスを追放されることとなります。ショワズールは道化にサンジェルマンになりすませ、自らの評判を傷つけようと試みますが、その企みは逆効果になりました。その後、彼はオランダへ逃れ、様々な国で自身の研究を発表する道を歩むことになります。

最期と伝説

サンジェルマンは最終的にヘッセンにて亡くなるのですが、享年93歳とも言われています。彼の死後、非凡な人物だったことが多くの伝説を生むことになりました。不老不死の存在として語られ、数々の神秘的なエピソードが彼に結びついています。

たとえば、彼は「不老不死の秘薬」を持っているとされ、過去の歴史的事件を生き証人のように語るという伝説もあります。哲学者ヴォルテールはサンジェルマンについて「彼は死ぬことがない者」と便り、ゲーテやカサノヴァの言及も彼の神秘性を強調しています。

時を超える存在

また、サンジェルマンは催眠術や他の神秘的な力を持っていたとも語られ、タイムトラベラーであるという説も存在します。これにより、彼は単なる歴史上の人物を超えて、神秘と知識の象徴として位置づけられることになりました。

神智学やニューエイジ思想では、彼は霊的な大師としての地位を持ち、特に「第七光線の大師」として重視されています。このようにサンジェルマン伯爵は、ただの歴史的人物ではなく、多様な解釈と伝説を通じて今もなお私たちの心をとらえて離さない存在なのです。

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