シャッター

シャッター：多様な機能と仕組み

シャッターは、複数の細長い部材（スラット）を連結し、枠体に巻き取ったり片側に寄せることで収納できる建具です。英語ではwindow shutter、日本語では「鎧戸」と呼ばれることもあります。ただし「鎧戸」はルーバーを指す場合もあるので注意が必要です。

シャッターの構造と材質

シャッターの基本構造は、シャッターカーテン、巻き取りシャフト、軸受けブラケット、収納ケース、開閉機、ガイドレールなどで構成されます。シャッターカーテンに使用される材質は、アルミニウム、鉄、ステンレスなどの金属製や、木、布、ビニール製など多様で、透明パネルシャッターにはポリカーボネイトなどが用いられます。枠と方立には、アルミニウム、鉄、ステンレスなどが一般的です。

シャッターの種類と用途

シャッターは用途によって、管理シャッター、防犯シャッター、防火（防煙）シャッターなどに分類されます。

管理シャッター: 店舗の管理や間仕切りとして使用されます。
防犯シャッター: 侵入やピッキングを防ぐためのセキュリティ対策として用いられます。
防火（防煙）シャッター: 火災の延焼防止や煙の拡散を防ぐ役割を果たします。

店舗の外構用シャッターには、様々な塗装やデザインが施され、広告宣伝効果も期待できます。

シャッターの歴史

シャッターの原型は、1837年にイギリスで作られた木片を綴り合わせた構造物と言われています。1862年のロンドン大博覧会にも木製シャッターが出品されました。日本へは1896年、イギリスから輸入されたスチールシャッターが日本銀行本店に設置されたのが最初です。国産スチールシャッターは、1903年に鈴木富太郎が創立した建築金物商会（鈴木シャッターの前身）によって誕生しました。

開閉方式と駆動方式

シャッターの開閉方式には、上下開閉式、横開閉式（横引き）、水平開閉式があります。

上下開閉式: 一般的な上下方向の開閉方式です。
横開閉式（横引き）: 雨戸のように左右に開閉する方式で、株式会社横引シャッターの市川文胤による「上吊式横引きシャッター」特許が有名です。S字や曲線にも対応できるため、建物のデザインに合わせたコーディネートが可能です。KIOSKや地下鉄の売店などにも多く採用されています。
水平開閉式（水平引き）: 屋根や床が開くような形式です。

駆動方式は、手動式と電動式があります。

スラットの種類とシャッターの種類

スラット（鎧）の規格によって、重量シャッターと軽量シャッターに分けられます。重量シャッターはスラットが大きく重いのが特徴で、幅も自由に設定できます。軽量シャッターはスラットが比較的軽く小型で、幅に制限があります。

重量シャッターには、管理用シャッター、外壁用防火シャッター、グリルシャッター、パネルシャッター、排煙シャッター、遮音シャッターなどがあり、電動式が一般的です。屋内用には防火シャッター、防煙シャッター、耐火クロス製防火/防炎スクリーンなどがあり、手動式のものもありますが、管理用には不向きとされています。

開閉時の形状と収納方法

開閉時の形状は、スラットシャッター（全閉鎖）、（透明）パネルシャッター（採光可能）、パイプシャッター（通風・採光可能）などがあります。収納方法は、一般的な巻き取り式のほか、折りたたみ式、オーバースライダー式、流し込み式などがあります。

シャッターメーカー

日本の主要なシャッターメーカーには、三和シヤッター工業、鈴木シャッター、文化シヤッター、東洋シヤッター、大和シャッター、日本シャッター製作所、ノイレスシャッター、セブンシャッター、ユニフロー、小松電機産業、横引シャッターなどがあります。

その他の構造物

土木分野では、シャッター砂防堰堤が研究されています。これは、出水期にシャッターを閉じて洪水を制御する構造物です。富山県立山町の妙寿砂防堰堤がその一例です。

参考文献

一般社団法人日本シヤッター・ドア協会

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