ジョー小泉

ジョー小泉（本名：小山義弘）は、1947年兵庫県神戸市生まれのボクシング評論家であり、マッチメーカー、トレーナー、ボクシング番組解説者、ボクシング誌記者としても知られています。

ペンネームの由来は、小泉信三元慶大塾長の著書に感銘を受けたことと、フランツ・カフカの小説の主人公の名前にちなんでいます。彼の先祖は広島藩の御納戸役であり、父は戦前、皇太子の近衛兵として東京に召集されましたが、広島への原爆投下により実家が壊滅。神戸に住み着いたという経緯を持っています。

幼少期からボクシングに親しみ、「拳闘小僧」と呼ばれ、海外のボクシング事情にも関心を抱いていました。アメリカのボクシング雑誌「リング」を愛読し、同誌の編集長ナット・フライシャーの記事の間違いを指摘したことがきっかけで、「リング」の東洋地区通信員となりました。当時17歳でした。

神戸大学工学部機械科卒業後、三菱重工業に入社しエンジニアとして勤務。その後、国内外のボクシング雑誌への寄稿、テレビ解説、トレーナーなど多岐にわたる活動を展開。サラリーマンとの両立に困難を感じ、1985年に独立、「リング・ジャパン」社を設立しました。ボクシング関連の出版やビデオ販売事業を行う傍ら、中島成雄の減量トレーナー、渡辺二郎のマッチメーカー、ルイシト・エスピノサやジョマ・ガンボアのマネジメント、アラビラモア木村のセコンドなど、活動範囲を広げました。

プロモーターライセンスは持っていませんが、「ワールドチャレンジャースカウト」という興行を主催したこともあります。2008年には、日本人としてファイティング原田以来2人目の国際ボクシング名誉の殿堂博物館および世界ボクシング殿堂入りを果たしました。また、バンコク空港封鎖問題でタイ人選手の招聘が困難になった際には、マッチメーカー会を発足させ、業界の連携を促進しました。

ジョー小泉は、アメリカを中心とした海外のボクシング・フィルムの収集家としても知られ、豊富な観戦経験から独自のボクシング理論を確立しています。彼は、日本のボクシング界が精神主義に偏りがちであることを批判し、欧米式の「打たせずに打つ」スタイルを提唱しています。大の駄洒落好きでもあり、著書や解説でも頻繁に披露しています。

英語、スペイン語、タガログ語、韓国語、タイ語など語学にも堪能で、ジャンルを問わず読書を好み、フランツ・カフカや森鷗外、加藤周一などを愛読しています。マニー・パッキャオとは幼少の頃からの知り合いで、1986年から3年間マイク・タイソンの日本でのエージェントを務め、タイソンの世話もしていました。

2001年には、OPBFスーパーライト級タイトルマッチで「替え玉事件」が発生し、マッチメーカーを務めていた小泉も活動停止処分を受けました。しかし、彼は自身のホームページで、タイ側の仲介者が独断でニセモノを仕立てた被害者であると主張しました。

著書には『ボクシングは科学だ』、『世界のKOアーチスト』、『ボクシング・バイブル』、『ボクシング珍談奇談』などがあります。

彼の豊富な知識と経験は、日本のボクシング界に多大な影響を与え続けています。また、その独特な視点とユーモアあふれる語り口は、多くのファンを魅了しています。

もう一度検索