近衛兵

近衛兵の歴史と役割

近衛兵（このえへい）とは、君主や国家の元首を護衛する部隊や武人のことを指します。特に王室や大統領の居所での警備・警護を行います。近衛兵の役割は時代背景や国によって多様であり、歴史を通じてその名称や任務はさまざまに変わってきました。

近衛兵の概要

君主制を採用する国家では、君主の安全を確保するための専属部隊が存在します。これらの近衛兵は、王宮や執務室の周辺を警備し、元首やその家族の身辺警護を担当。この職務は、法治が行き届いた国では軍隊と警察との職務分離が進み、警察や国家憲兵が主に日常の警護を行うことが一般的です。

近衛という名称は、日本だけでなく多くの国家で使われており、英語では「Royal Guard」、フランス語では「Garde」など、国ごとにその表現は異なります。例えば、古代ローマでは「プラエトリアニ」、フランスではナポレオン時代に「ラ・ギャルド・アンペリアル」が編成されるなど、歴史的な経緯が存在します。

各国の近衛兵の役割

古代ローマ帝国

古代ローマでは、皇帝を護衛する「プラエトリアニ」が設置され、アウグストゥスの時代からコンスタンティヌスまでおよそ300年の歴史がありました。

バチカン市国

ローマ教皇庁では、1506年に設立されたスイス衛兵が教皇を護衛します。1527年のローマ略奪での犠牲によってその名声を確立しました。

スペイン

スペインでは「グアルディア・レアル」が国王や王室メンバーを護衛し、戦闘能力も備えた部隊です。

フランス

フランス革命後、ナポレオンは「ラ・ギャルド・アンペリアル」を創設し、現在でも「ギャルド・レピュブリケーヌ」として大統領警護部隊が存在します。

ドイツ

ドイツ帝国では「Gardekorps」という近衛師団がベルリンを警備し、近代的な軍隊と警察の分業が進みました。

イギリス

イギリスでは、バッキンガム宮殿などで陸軍の近衛兵が警護を行っており、その姿勢や服装は観光名所としても人気です。

スウェーデン

スウェーデンの近衛兵は歴史的に重要な役割を果たし、現在も王宮を警護している部隊があります。

ロシア

現代ロシアでは、クレムリンの警備を「大統領連隊」が担い、さらにソビエト時代から名誉称号として「親衛」と呼ばれる部隊があります。

オスマン帝国

オスマン帝国では、スルタンの護衛として「イェニチェリ」が知られ、その役割は特殊でした。

中国

中国の歴史の中でも、歴代の皇帝は近衛兵を持ち、秦の始皇帝から清朝、現在の中華人民共和国に至るまで、その形態は異なりつつも続きました。

日本

日本の歴史においては、古代から明治時代まで「近衛」が天皇の警護を担当しており、近衛府として整備されました。現代でも皇宮警察がその役割を引き継いでいます。

アメリカ

アメリカ合衆国では、シークレットサービスが大統領の警護を主に担当し、ホワイトハウス内でも厳重な警備体制を敷いています。

まとめ

近衛兵は、国家の「顔」となる君主や大統領を守るための重要な存在です。各国の文化や歴史に根ざしたこの役割は、時代と共に変化しながらも、今後も継承されていくことでしょう。

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