スキュラ

スキュラの物語

概要

スキュラ（古希: Σκύλλα、ラテン語: Scylla）は、ギリシア神話における怪物の名であり、メガラの王女としても知られています。彼女の名は「犬の子」に由来します。スキュラは神話の中で様々な形で描かれ、彼女の物語は愛と裏切りの要素を含んでいます。

怪物としてのスキュラ

スキュラは「オデュッセイア」などの古典文献に登場します。彼女の姿は3列に並んだ歯を持つ6つの頭と12本の足から成る一方、『変身物語』では上半身が美しい女性で、下半身にはいくつもの犬の体が生えていると記述されています。陶器画や彫刻では、女性の上半身に魚の下半身と複数の犬の前半身が描かれ、犬の頭でできた帯を身に着けた姿が見られます。スキュラはかつてニュムペーであったとされ、不死の存在であったといいます。

彼女は女神クラタイイースの娘である、という説や、ポルキュースまたはラピテース族のポルバースとヘカテー、またはテューポーンとエキドナの間の子であるという説明もあります。

神話の中の恋と裏切り

スキュラは多くの男性たちから求婚されましたが、誰にも心を開きませんでした。彼女の友人である海のニュムペーたちも彼女のことを気に入っていました。しかし、ある日、海神グラウコスがスキュラに恋をしました。彼女はその突然の思いに驚き、逃げ出してしまいました。グラウコスはスキュラを諦めず、魔女キルケーの力に頼ることにしましたが、キルケー自身がグラウコスに恋をしてしまいます。

キルケーは怒りを持ってスキュラに対抗し、彼女が好む淵に毒を流し込みます。その結果、スキュラは上半身は美しいまま、下半身は犬たちに変わるという悲劇的な変身を遂げてしまいます。グラウコスは彼女の変貌を悲しみ、この状況を生み出したキルケーとの関係を絶ちます。

スキュラはその後、トロイア戦争の際に再び登場します。オデュッセウスの艦隊がシケリア島の近くを通った際、スキュラは6人の船員を襲い、彼らを連れ去ります。このように、彼女は怪物として船を襲う存在となり、通り過ぎる船から恐れられる存在となってしまったのです。

メガラの王女としてのスキュラ

一方、メガラの王女としてのスキュラも興味深い物語を持っています。メガラ王ニーソスの娘で、オウィディウスの『変身物語』に登場します。彼女はクレーテー島の王ミーノースに恋をし、父を裏切ってまで関係を築こうとしました。

スキュラは父が眠っている間にニーソスの緋色の髪を奪い、その髪をミーノースに渡しましたが、彼から拒絶されました。ミーノースのキャンペーンが成功した後、スキュラは怒り狂い、海に飛び込むも、ニーソスが姿を変えた鷲に恐れを感じ、彼女は船尾から離れます。最終的に、スキュラはスキュラの変身物語の様々な解釈により、白鷺や雲雀に変えられたという説もあります。

結論

スキュラの物語は、愛、拒絶、変身という複雑なテーマを持っており、彼女の存在はギリシア神話の中でも特に印象深いものとなっています。その神話は文学、芸術、文化に多くの影響を与え、スキュラの名は今もなお語り継がれています。

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