スチェッキン・マシンピストル

スチェッキン・マシンピストルの紹介

スチェッキン・マシンピストル（APS）は、ソ連軍において開発された自動拳銃で、イーゴリ・ステーチキンという銃器設計技師によって1940年代末に誕生しました。この拳銃は、1951年にソビエト連邦軍の制式装備として採用されました。特に、戦車や装甲車両の搭乗員、砲兵、擲弾筒手、そして将校の護身用武器としての役割を果たしました。また、この拳銃は、アルゼンチンの革命家チェ・ゲバラがボリビアで最後の戦いを迎えた際に身に着けていたことでも知られています。

開発と特徴

APSは、ボロ・モーゼル自動拳銃の影響を受けており、トカレフやマカロフの拳銃に比べ、高い火力と大きな装弾数が特長です。最大750発/分の発射速度を誇り、取り外し可能な銃床をオプションとして装着することで命中精度を向上させることもできました。しかし、その大きさと重さは携行性に欠け、特に戦闘車両からの脱出時には扱いづらさが露呈しました。このため、数十年後にはソ連軍の装備から除籍され、予備保管に回されることになりました。

1970年代には、APSを元に消音器を備えたAPSB（消音器付ステーチキン式全自動拳銃）が開発され、特別部隊用に生産されました。1990年代初め、ロシアの治安機関は、マカロフ拳銃では威力が不足し、AK系自動小銃では過剰であることに気づき、過去に放出されたAPS拳銃を取り入れました。今日でも、その手頃な価格と十分な性能、弾薬の入手しやすさから、様々な治安機関職員に利用されています。

構造と仕様

APSは、ダブルアクション機構を備えた大型自動拳銃であり、その作動方式はストレート・ブローバックです。これにより、銃身はフレームに固定されています。銃把には連射速度を調整するためのレート・デューサーが設けられており、スライドの動作を遅延させる仕組みになっています。また、安全装置はスライド後方左側にあり、単発・連射の切り替えが可能です。照準器は25mから200mの距離に設定されています。

APSの標準的な弾倉は、複列式で20発を装填することができ、その構成には木製または合成樹脂製の銃床が付属しています。この銃床はホルスターとしての機能も持ち、自身を収納することが可能です。

派生型

APB（AO-44）

1970年代初頭に開発されたAPBは、APSの消音モデルで、さらに軽量化されています。サプレッサーを取り付けるためのネジ切りが施され、新しいデザインの銃床に変更されました。

S-APS

民間向けの競技用大型拳銃として設計されたS-APSは、ダブルカラムマガジンを廃止し、シングルカラムを使用しています。

MA-APS

可変サプレッサー付きの民間向けピストルカービンで、定番の木製銃床を持っているが固定化されています。マガジンはS-APSと同じくシングルカラムの10連です。

MP-355

外傷性拳銃として開発されたMP-355は、護身用として位置付けられていますが、その重量から護身の用途には適さないとされています。

VPO-504 "APS-M"

APSを模した外観を持つVPO-504は、外傷性拳銃で、10連のシングルカラムマガジンを使用するが、フルオートの機能は除外されています。

映画やゲームへの登場

この銃は数多くの映画やアニメ作品、ゲームに登場し、特に「甘い人生」や「フェイス/オフ」などで活躍しています。また、多くのゲームにおいてもサブ武器として使用され、プレイヤーキャラクターの武器の一つとして位置付けられています。

まとめ

スチェッキン・マシンピストルは、その独特の設計と歴史を持ち、現在でも多くの場所で使用され続けている銃器です。時代を超えてその価値を認められ、さまざまなニーズに応じたバリエーションが展開されています。

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