スパイバー

Spiber（スパイバー）は、山形県鶴岡市に本社を構える企業で、世界で初めて人工的に合成された構造タンパク質素材「Brewed Protein™️（ブリュード・プロテイン™️）」の量産化に成功したことで知られています。この素材は、クモの糸のような特性を持つことから、「人工クモ糸」とも言え、社名もその特徴を反映して、クモ（spider）の糸（fiber）から名付けられました。

設立の背景

Spiberは、慶應義塾大学先端生命科学研究所（山形県鶴岡市）で研究をしていた関山和秀氏によって設立されました。関山氏は、クモの糸に代表される強靭かつ柔軟な構造タンパク質素材に着目し、その人工合成・生産技術を確立し、製品化・量産化を目指しました。

2013年11月28日には、共同開発を進めていた小島プレス工業との協力により、試作品の生産工場が稼働を開始しました。この工場は、Spiberの技術を具現化する上で重要な役割を果たしました。

Xpiberの設立

2014年9月26日、Spiberは小島プレス工業との共同出資会社として「Xpiber（エクスパイバー）」を設立しました。資本金は4億5000万円で、この合弁会社は量産化に向けた重要な一歩となりました。Xpiberは、2014年9月に試作品生産工場の隣接地に「本社研究棟」を着工し、2015年5月22日には、その研究棟が稼働を開始しました。

Spiberの沿革

Spiberの歴史は以下の通りです。

2007年9月26日：慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス（SFC）出身の関山和秀氏らが、神奈川県藤沢市にてSpiberを設立。
2008年6月：慶應義塾大学先端生命科学研究所がある山形県鶴岡市に移転。
2012年8月2日：第11回山形県科学技術奨励賞を受賞。
2013年5月24日：世界初の合成クモ糸繊維「QMONOS」の量産化に成功したと発表。「QMONOS」は「蜘蛛の巣」に由来します。
2013年11月28日：試作研究施設工場（PROTOTYPING STUDIO）が稼働を開始。
2014年5月22日：エクスパイバー本社研究棟が稼働を開始。
2014年9月：科学技術振興機構による「大学発ベンチャー表彰」で特別賞を受賞。
2014年9月26日：小島プレス工業株式会社との共同出資で、QMONOS量産工場の運営会社であるXpiberを設立。
2014年10月：内閣府による「革新的研究開発推進プログラム（ImPACT）」の承認プログラムである「超高機能構造タンパク質による素材産業革命」において、コア研究組織として選定。
2015年1月：経済産業省による日本ベンチャー大賞の「地域経済活性化賞（審査委員会特別賞）」を受賞。
2015年3月：資本金を25億3,458万円に増資。
2015年4月：スパイバー株式会社からSpiber株式会社に社名変更。
2015年9月30日：ゴールドウインと事業提携契約を締結し、30億円の出資を受け入れる。
2015年10月8日：提携契約に基づく第一弾製品「ムーンパーカ」のプロトタイプを発表。
2024年1月25日：兼松との協業開始と同社を引受先とする第三者割当増資を発表。

メディアでの紹介

Spiberは、その革新的な技術と事業展開が評価され、テレビ番組でも取り上げられました。

日経スペシャル カンブリア宮殿「10年で世の中は変えられる！ 素材に革命を起こす若きサムライたち」（2016年8月4日、テレビ東京）

関連情報

Spiberの技術や事業に関連する情報として、以下の項目があります。

クモの網
バイオメカニクス
バイオミメティックス

外部リンク

スパイバー公式サイト
* 慶應義塾創立150年Webサイト│未来の先導者 design the future 第3回 菅原潤一さんインタビュー

Spiberは、構造タンパク質素材の可能性を追求し、様々な分野での応用が期待されています。その技術革新は、持続可能な社会の実現にも貢献すると考えられています。

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