スピードリミッター

スピードリミッターとは

スピードリミッターとは、エンジンやモーターの最高速度を制限したり、制御したりするための装置です。この装置は車両の速度を監視し、設定された速度を超えると原動機の出力を抑制することで、速さの上昇を防ぎます。スピードリミッターは、自動車や他の高速機械において、事故を防ぐために広く利用されています。

鉄道におけるスピードリミッター

鉄道車両にもスピードリミッターが取り付けられることがあります。これは、路線ごとまたは特定の車両の最高速度を守るためです。
例えば、高松琴平電気鉄道の冷房車両では、琴平線用車両が80 km/h、長尾線用車両が65 km/hで設定されています。さらに、東京地下鉄の半蔵門線用8000系にも100 km/hで作動するスピードリミッターが装着されています。名古屋鉄道では、営業最高速度が110 km/hの5700系と5300系に設置されたOSR（オーバースピードリレー）というシステムがあり、これにより力行中110 km/hに達すると自動的に出力がカットされます。

電動アシスト自転車の制限

日本の電動アシスト自転車では、速度制限が設けられています。時速10km/h未満では最大補助比が1：2に設定され、時速10km/hを超えて24km/h未満の場合は、速度が上昇するにつれて補助力が低下し、24km/h以上では電動補助が無効化されます。

原動機付自転車の制限

原動機付自転車、特に50 cc以下の第一種車両においては、メーカーの自主規制によりスピードリミッターが60 km/hで作動します。1980年代前半には一部の車種が90 km/hまで出せていましたが、次第に制限が厳格化されました。点火プラグの制御や減速比の設定により機械的に速度を制限する手法が用いられることもあり、2000年からは電子制御燃料噴射を採用した車両も登場しました。

特定原動機付自転車

2023年7月1日施行の特定小型原動機付自転車においては、電動式リミッターがあり、走行モードに応じて設定速度を超えると motor 出力がカットオフされます。歩道走行用のモードでは6 km/h、一般走行用では20 km/h以下に制限され、切り替えは走行中にできない仕組みです。

自動車におけるスピードリミッター

自動車では、エンジンに燃料を送るポンプに対し、電気的または電子的な制限が加わります。特に、1980年代から普及した電子制御燃料噴射装置は、車速センサーで速度を取得して燃料噴射を制御します。スピードリミッターの設定は、安全基準に基づくものであり、設定速度に到達するとエンジン出力が抑制されます。この際、車種によって個体差があり、必ずしも設定速度に達するとは限らない点が特徴です。

大型車両とスピードリミッター

大型車両のスピードリミッターは、車両の用途により異なります。たとえば、2003年8月31日以前に製造された大型貨物車は、一定の条件下で速度が100 km/h未満に制限され、車両に特別な表示を義務付けられます。客席にシートベルトが備えられていない路線バスも、高速道路を走行する際に特定の速度制限が設定されています。

国際的なスピードリミッターの状況

アメリカでは、一時期スピードリミッターに関する規制が存在しましたが、現在では緩和されています。ヨーロッパでは、乗用車は多くが250 km/h、スポーツカーは275 km/hに設定されています。メルセデス・ベンツやBMW、アウディなどのメーカーは、自社車両に250 km/hのスピードリミッターを装備する協定を結んでいます。他の国々でも、法的に速度制限が設けられることがあります。

競技用車両とリミッター

競技用車両においては、安全対策としてスピードリミッターが装備されることがあります。ピットロード区間では60 km/h程度の制限が一般的で、ドライバーがスイッチを操作してリミッターが有効になる仕組みです。フォーミュラ・トラックのレースでは160 km/hのリミッターが適用され、事故のリスクを減少させます。

可変リミッター

一部の自動車には可変リミッターが搭載され、特定の条件下で最高速度を変更できる機能があります。これにより、安全な運転を促進することが可能です。

リミッターカットとその影響

リミッターカットは、速度制限を無効にする行為であり、特にサーキット走行などで行われます。しかし、道路運送車両法では大型貨物自動車のリミッター装着が義務付けられ、これを取り除くことは違法行為です。一般の乗り物については業界の自主規制に基づくため、必ずしも違法にはなりませんが、改造においては様々なリスクが伴います。

このように、スピードリミッターは各種交通機関において安全性を高める重要な装置です。

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