スピード狂

スリル満点のカーレース！アニメ『スピード狂』の世界

1958年、[メトロ・ゴールドウィン・メイヤー]より公開されたアニメーション作品『スピード狂』(原題:MUTTS ABOUT RACING)は、マイケル・ラー監督による、イソップ寓話『ウサギとカメ』を大胆にアレンジした、カーレースを題材にした作品です。

10万ドルの賞金が懸けられたグランプリレース。主人公は、紳士的な性格のドルーピーと、命知らずでワイルドなブルドッグのブッチです。ドルーピーの愛車は、ゼンマイ仕掛けのおもちゃのような車「プラモ8号」。一方、ブッチの愛車「マッハ・スペシャル号」は、その名の通り、圧倒的なパワーを誇るマシンです。

レースは、ブッチの圧倒的なスピードで幕を開けます。しかし、ブッチはレース中に何度も車を停め、ハンバーガーを食べたり、ドルーピーを妨害しようと様々な悪巧みを仕掛けたりします。そのたびにドルーピーは窮地に陥りますが、持ち前の機転と、安全運転を心がけた真面目なレース運びで、ブッチの妨害を乗り越えていきます。

ブッチは、ドルーピーを谷底に落とす罠を仕掛けたり、海辺で女性と戯れたりと、レースそっちのけで好き勝手な行動を繰り返します。その間にドルーピーは着実に順位を上げていきます。ブッチがようやくドルーピーに追いつき、追い抜こうとしたその時、なんと「行き止まり」の標識を見落として大クラッシュ！病院送りとなってしまいます。

一方、最後まで真面目にレースを続けたドルーピーは見事優勝を飾ります。「やはり安全運転が一番ですね」という彼のコメントは、彼の真面目さを際立たせます。レースの結果を生中継で見ていたブッチは、悔しさのあまり暴れ出し、気絶してしまいます。その様子をよそに、ドルーピーは悠々と賞金を数え、なんとブッチの舌を使って賞金の金額を確認するユーモラスな場面で幕を閉じます。

個性豊かなキャラクターたち

本作には、個性豊かなキャラクターたちが登場します。

ドルーピー:一見すると頼りなげなゼンマイ式自動車に乗るドルーピーですが、実は驚くべき耐久性と性能を誇る愛車「プラモ8号」を駆り、数々の困難を乗り越えます。紳士的な振る舞いと真面目なレース運びで、観客の心を掴みます。

ブッチ:豪快で大胆なブッチは、強力なマシン「マッハ・スペシャル号」を操り、レースをリードします。しかし、彼の粗忽者ぶりと、レースよりも自分の楽しみを優先する性格が、彼の敗因となります。

* その他のキャラクター:レースの途中で登場する、牧場の牛や、海辺でくつろいでいた女性など、個性豊かなキャラクターたちが物語に彩りを添えています。

『ウサギとカメ』の現代版

『スピード狂』は、イソップ寓話『ウサギとカメ』を現代風にアレンジした作品と言えるでしょう。ウサギのように才能とスピードを誇るブッチが、カメのように地道に努力するドルーピーに敗れるという結末は、一見すると意外性があるように見えますが、実は「継続は力なり」という普遍的なテーマを改めて考えさせてくれる、奥深い作品です。

日本の放映

日本では、TBS版『トムとジェリー』の短編として放映され、多くの日本の視聴者にも親しまれてきました。そのコミカルな展開と、予想外の結末は、老若男女問わず楽しめ、何度見ても飽きない魅力があります。

スタッフ

監督：マイケル・ラー

制作総括：ウィリアム・ハンナ、ジョセフ・バーベラ

その他、多くの優秀なアニメーター、レイアウトマン、背景画スタッフ、脚本家、音楽家らが制作に関わっています。

関連作品

2007年には、『スピード狂』をモチーフにした『夢の豪邸づくり』という作品も発表されています。これは、宝くじの高額当選をきっかけに、トムとジェリーが豪邸建設に挑戦するというストーリーです。

『スピード狂』は、ハラハラドキドキの展開と、ユーモラスなキャラクター、そして忘れかけていた大切な教訓を思い出させてくれる、まさに傑作アニメーションと言えるでしょう。

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