スモーキークォーツ

スモーキークォーツ（煙水晶）

スモーキークォーツ（英: Smoky Quartz）は、石英グループに属する鉱物の一種であり、一般的には「煙水晶」として知られています。主な特徴は、そのユニークなブラウンやブラックがかった色合いで、多くの場合、他の宝石と同様に装飾品や彫刻の素材として利用されます。

性質と特徴

スモーキークォーツは、モース硬度7を持ち、そのため耐久性が高いという特性があります。色合いは、主に茶色や黒っぽいニュアンスを呈しており、その色彩は、地中での天然放射線が影響を与えると考えられています。具体的には、ケイ素が微量のアルミニウムイオンによって置換され、三価のアルミニウムイオンが四価のものに変化します。このプロセスによって色中心が形成され、広範囲の光波長を吸収することで、スモーキークォーツ特有の灰色に見える色合いが生まれます。

長い年月にわたって放射線の影響を受けることで、その色は淡灰色から濃灰色、そしてついには黒色にまで変化することがあります。光の吸収の程度は、受けた放射線量に比例しています。

品種

モリオン

スモーキークォーツの中でも、特に非常に暗い茶色から黒色になった不透明な品種は「モリオン」と呼ばれています。モリオンはドイツ語、デンマーク語、スペイン語、ポーランド語においてもスモーキークォーツの同義語として使用されており、その名は古代ローマの博物学者プニウスの著作に起源を持つとされています。

カンゴーム

スコットランドのカンゴーム山脈で見つかるスモーキークォーツクリスタルは「カンゴーム」として知られています。通常、やや黄褐色がかった色合いを持ちながらも、灰色がかった茶色を示すものも存在します。カンゴームはスコットランドのジュエリーや伝統的な装飾品、さらにはナイフのハンドルなど多様な用途に用いられます。有名な23.6 kgのカンゴーム結晶は、Braemar城に収納されています。

用途と加工法

色合いが落ち着いているスモーキークォーツは、高品質な宝飾品や念珠として広く用いられます。また、置物や印鑑としても重宝されています。しかし、天然の高品質スモーキークォーツは非常に入手困難で、値段も高くなる傾向があります。市場に流通しているスモーキークォーツの中には、人工的な改良（エンハンスメント）が施されているものも多く、特に価格の安いものにその傾向が顕著です。

また、白水晶に人工的に放射線を加えてスモーキークォーツにする方法や、逆にスモーキークォーツを加熱して黄水晶（シトリン）として販売する事例も見られます。

備考

かつてスモーキークォーツはトパーズの一種と誤って認識されていた時代もあり、「スモーキー・トパーズ」として高価な宝石材料として扱われていました。

参考文献

• - 益富寿之助『鉱物 : やさしい鉱物学』保育社
• - 松原聰『日本の鉱物』学習研究社
• - 青木正博『鉱物分類図鑑 : 見分けるポイントがわかる』誠文堂新光社

このように、スモーキークォーツはその美しさとユニークさから、宝石として非常に人気があります。その特性や背景を知ることで、より深くこの鉱物を理解することができるでしょう。

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