スンドゥブ

スンドゥブとスンドゥブチゲの魅力

スンドゥブ（純豆腐、朝鮮語: 순두부）は、韓国における柔らかな豆腐の一種であり、日本の汲み出し豆腐（おぼろ豆腐）に類似する特徴を持っています。この豆腐は主にスンドゥブチゲ（純豆腐チゲ）という鍋料理の主役として使用され、韓国の食文化において非常に人気があります。この料理は特に家庭での食卓や安価な食堂で広く親しまれています。

スンドゥブの特徴

スンドゥブの豆腐自体は、豆乳に凝固剤を加えて作りますが、圧搾を行わないため水分が豊富で非常に柔らかいのが特徴です。食べ方も様々で、スンドゥブをそのまま楽しむこともできますし、薬味入りの醤油、つまりヤンニョムカンジャンをかけて味わうこともできます。また、「純豆腐」は朝鮮語における名称ですが、一部では「水豆腐（スドゥブ）」という名前も用いられています。ただし、現在では「純豆腐」という漢字表記が一般的です。

スンドゥブチゲについて

スンドゥブチゲは、その名の通りスンドゥブを基にした鍋料理で、通常は小型の土鍋（トゥッペギ）を用いて調理されます。アサリやシジミといった海鮮類に、スンドゥブ、肉、野菜などを加え、さらに水やスープで煮込みます。ここにコチュジャンや唐辛子粉、ニンニク、ごま油を使った調味料で辛味を加え、最後に生卵を落とすことで完成します。飲食店では、スンドゥブチゲはご飯や豊富な韓国のおかずであるパンチャンと一緒に提供されることが一般的です。

具材や調理法は非常に多彩ですので、スンドゥブが「くずした絹豆腐」であることもあれば、スープ自体の種類もさまざまです。特に海鮮系のスープが多いですが、肉を使用したり、味噌を加えたりすることもあります。また、辛さがきわ立つ唐辛子粉を使用した赤いスープが一般的ですが、「ハヤン（白い）スンドゥブ・チゲ」と呼ばれるものも存在します。豚肉や牛肉、魚介、豊富な野菜などが具材に使われ、特定の専門店では多様なスンドゥブチゲのバリエーションが楽しめます。

スンドゥブのアメリカでの広まり

1990年代に入ると、スンドゥブ・チゲはアメリカ、特にロサンゼルスのコリアタウンで人気を博し、豆腐が健康食品として注目を集める中で、多くの人に受け入れられました。1996年に設立された「BCD TOFU HOUSE（北倉洞スンドゥブ）」がチェーン展開を行うことで、アメリカ国内で広がり、結果的に韓国にも逆輸入される形で人気が増しました。これに伴い、韓国国内にも専門店が増え、競争が生まれるようになりました。

江陵名物の草堂豆腐

韓国の観光地である江陵市には、草堂（チョダン）という地名があります。これは朝鮮王朝時代に著名な文人であった許曄（ホ・ヨプ）の号に由来します。許曄はこの地域で豆腐を作って評判になり、現在でも江陵海水を利用した伝統的な製法で作られた豆腐が楽しめるレストランが多く営業しています。スンドゥブだけでなく、固めたモドゥブも香ばしい味わいを持っており、醤油を使ったシンプルな味付けは、豆腐の自然な風味を引き立てています。

このように、スンドゥブとその関連料理は多様な形で楽しむことができ、韓国の豊かな食文化を体験する上でも欠かせない存在です。

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