セイウンハーデス

セイウンハーデス：冥府の神の名を冠する競走馬の軌跡

2019年4月8日生まれのセイウンハーデスは、その名にギリシャ神話の冥府の神を冠するサラブレッド競走馬である。2021年10月、阪神競馬場でのデビュー戦を勝利で飾ると、若駒ながらその潜在能力の高さを示した。しかし、その後は重賞レースでの勝利には届かず、苦戦が続いた。

2歳シーズンは新馬戦を制したものの、続くこうやまき賞では5着と結果を残せなかった。3歳となった2022年には、毎日杯やセントライト記念といった重賞レースに挑戦するも、4着、4着と惜しくも勝利を逃す。クラシックレースの東京優駿（日本ダービー）では11着、菊花賞では17着と大敗を喫し、潜在能力の高さを発揮しきれないシーズンとなった。

しかし、4歳シーズンを迎えたセイウンハーデスは、競馬法100周年記念を制し、約11ヶ月ぶりの勝利を収める。続く新潟大賞典では惜しくも2着に終わったものの、その力強さは着実に増していた。そして迎えた2023年7月9日、福島競馬場で行われた七夕賞（芝2000m）で、セイウンハーデスは悲願の重賞初制覇を果たす。道中3、4番手を追走した後、最後の直線で力強く伸び上がり、見事な勝利を収めた。その走りは、馬名の由来である「冥府の神」にふさわしい力強さと風格を感じさせた。

七夕賞勝利後、セイウンハーデスは新潟記念への出走に向けて調整されていたが、8月1日、右前脚屈腱炎のため長期離脱することが発表された。復帰には約1年を要する見込みであると発表され、関係者やファンに衝撃を与えた。

セイウンハーデスの血統は、日本の在来系統の一つであるフロリースカツプ系に属する。5代母には1955年阪神3歳ステークス勝ち馬のトサモアーの名があり、その近親にはオースミハルカ、オースミイチバン、オースミグラスワンといった重賞勝ち馬の名が並ぶ。

セイウンハーデスの競走成績は、netkeiba.comやJBISサーチなどで確認することができる。デビューから七夕賞制覇までの道のりは、決して平坦なものではなかった。幾度もの挑戦と挫折を経験しながらも、持ち前の能力と強い意志で、着実に成長を遂げてきた。今後の復帰と活躍に期待がかかる一方、屈腱炎からの回復を祈らずにはいられない。セイウンハーデスの物語は、競走馬としての戦いだけでなく、怪我からの復活という新たな試練と、その克服という物語へと続いていく。

セイウンハーデスの活躍は、多くの競馬ファンに感動と希望を与え、その名は日本の競馬史に刻まれるであろう。今後の復帰とさらなる活躍に期待したい。その力強い走り、そして、その馬名に込められた意味を改めて思い起こさせる、記憶に残る一頭であることは間違いない。

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