セルラーゼ

セルラーゼとは

セルラーゼ（Cellulase）は、β-1,4-グルカンのグリコシド結合を加水分解する酵素で、特にセルロースの分解に重要な役割を担っています。主に、細菌や真菌、そして植物によって合成されます。動物や植物は、セルラーゼをコードする遺伝子を保有することが少なくありませんが、その発現は限られています。

型の分類

セルラーゼは主にエンドグルカナーゼ（EC 3.2.1.4）とエキソグルカナーゼ（EC 3.2.1.176, EC 3.2.1.91）の2つに分類されます。エンドグルカナーゼは多糖分子内で結合を切断し、エキソグルカナーゼは糖鎖の端から分解を行います。このプロセスによって、セロビオースが生成され、それがセルロースの効率的な分解を促進します。また、これらの酵素は糖加水分解[[酵素]]ファミリーに属しており、そのアミノ酸配列も多様です。

セルラーゼを生産する生物

菌類と原生生物

菌類や原生生物は、セルラーゼを生成する能力を持っています。一部の動物は、腸内にこれらの原生生物を共生させることで、セルラーゼを取込み、利用しています。

動物による生産

軟体動物

セルラーゼに関する初期の研究は、カタツムリ（Helix pomatia）が由来のものが知られています。その他の軟体動物、特に巻き貝や二枚貝もセルラーゼやヘミセルラーゼを合成する能力があります。

節足動物

シロアリやゴキブリなどの節足動物は、腸内にセルラーゼを生成する単細胞生物を共生させています。従来、この共生は動物自身がセルラーゼを生産できないためと考えられてきましたが、最近の研究ではシロアリのゲノムにセルラーゼ遺伝子が存在し、他の微生物からの水平遺伝子移動ではないことが確認されています。また、マツノザイセンチュウもセルラーゼ遺伝子の発現が見られ、深海に生息するカイコウオオソコエビも同様にセルラーゼを産生します。

哺乳類

ウシやヒツジなどの反芻動物、またウマなどの草食性動物は、消化管内にセルラーゼを生産する微生物を持ち、その助けによってセルロースの消化を行っています。

菌類の役割

子嚢菌類や担子菌類の中には、セルロースを分解する能力を持つものが多く、特に木材の分解では担子菌類が中心的な役割を果たしています。子嚢菌の一種であるTrichoderma reeseiは、セルラーゼの高生産菌として知られ、かなりの量のタンパク質を分泌し、複数のタイプのセルラーゼを生成することが分かっています。また、嫌気性細菌のClostridium thermocellumは、「セルロソーム」という複合体を形成し、高効率のセルロース分解を可能にしています。

セルラーゼの応用

セルラーゼは、植物細胞壁を分解してプロトプラスト化する過程や、洗剤に配合されることで繊維の汚れを除去する目的で利用されます。また、ジーンズの風合いを改善するためにも使われています。さらに、この酵素はセルロースを常温でグルコースに変換する能力を持ち、非可食バイオマスを活用したセルロシック・エタノールの生産にも広く利用されています。

もう一度検索