ソルド

ソルド：中世イタリアの硬貨

ソルド（Soldo）は、中世イタリアで広く用いられた硬貨です。その起源は12世紀後半、神聖ローマ皇帝ハインリヒ6世がミラノで初めて発行したことに遡ります。ソルドの名前は、ローマ時代後期のソリドゥス金貨に由来しており、歴史的なつながりを感じさせます。

イタリア各地への普及

ソルドは発行後、その利便性から瞬く間にイタリア各地に広まりました。ジェノバやボローニャといった主要都市でも造幣され、イタリアの経済活動を支える重要な役割を果たしました。この広範囲な流通は、ソルドが当時の経済において不可欠な存在であったことを示しています。

ヴェネツィアにおけるソルド

ヴェネツィア共和国では、第52代ドージェ、フランチェスコ・ダンドロの統治時代（1329年～1339年）にソルドの鋳造が開始されました。その後、ヴェネツィア共和国が滅亡する1797年まで、長きにわたり使用され続けました。さらに、オーストリア占領下の1862年まで、その歴史は続きます。この事実は、ソルドがヴェネツィア経済において、いかに深く根付いていたかを物語っています。

変遷と価値の低下

14世紀のフィレンツェでは、ソルドは銀貨として発行され、12ドゥニエまたは1/20リラと同等の価値を持っていました。しかし、時間の経過とともにソルドの品位は低下し、合金貨へと変わっていきました。17世紀には、そのほとんどが銅貨として製造されるようになりました。この変化は、ソルドの経済的な重要性が徐々に低下していったことを示唆しています。

ソルドの終焉とリラの台頭

19世紀に入ると、オーストリアのクローネンターレル銀貨がヴェネツィアとミラノで発行され、6リラと等価になりました。これを機に、リラが主要な通貨基準となり、ソルドはその役割を終え、名称のみが残る存在となりました。ソルドの歴史は、中世から近世にかけてのイタリア通貨の変遷を映し出す鏡とも言えるでしょう。

まとめ

ソルドは、中世イタリアの経済史において重要な役割を果たした硬貨です。その起源から衰退まで、ソルドの歴史は、当時の社会経済状況を理解する上で貴重な手がかりとなります。ソルドは、単なる硬貨としてだけでなく、歴史の一部として記憶されるべき存在です。

関連項目

* イタリア・リラ

出典

（特になし）

もう一度検索